[国際協力研究科] 木村幹教授の著書が「第16回読売・吉野作造賞」を受賞することに決定しました

2015年06月10日

第16回読売・吉野作造賞(読売新聞社、中央公論新社共催)は、 6月9日、神戸大学大学院国際協力研究科の木村幹教授の「日韓歴史認識問題とは何か 歴史教科書・『慰安婦』・ポピュリズム」(ミネルヴァ書房)と、福永文夫独協大教授の「日本占領史 1945 -1952 東京・ワシントン・沖縄」(中央公論新社)に決まったと発表しました。

同賞は、読売論壇賞と中央公論新社の吉野作造賞を一本化して2000年に創設された学術賞で、前年1月から12月までに発表された政治・経済・社会・歴史・文化の各分野における優れた論文、および単行本を顕彰します。また日本を代表する論壇の賞として評価されています。

なお贈賞式は7月14日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれる予定です。

読売・吉野作造賞の受賞にあたって    国際協力研究科・教授 木村幹

2012年の8月の李明博前大統領の竹島上陸以来、日韓関係は悪化の一途を続けている。しかしながらどうして我々は朝鮮半島における日本の植民地支配終焉以後、70年も経った今日においてさえ、このような状況に直面しなければならないのだろうか。

この問題については、巷に様々な「解釈」が溢れている。ある人はその原因は日本における民族主義の興隆にあるのだといい、またある人は、韓国の人々の「特異な」歴史観に注目する。とはいえそれらの著作の多くは、いたずらに結論を急ぐばかりで、印象論に終始している。

それでは実際には、現在我々が直面する問題はどのようにして生まれ、複雑化していったのだろうか。今回、読売・吉野作造賞の対象となった拙著『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房、2014年)はこの問題について、筆者なりの分析を試みたものである。そこでは数量的データを用いてその全体的トレンドを洗いだした上で、その変化の原因を80年代にはじまる歴史教科書問題と、90年代に入って突如脚光を浴びた従軍慰安婦問題をケーススタディーにより読み解いている。

そのような筆者の試みがどの程度功を奏しているかは、読者諸氏の判断に任せる事としよう。ともあれ重要なのは、このような日韓間の歴史認識問題が、我々が生きる現代史上の出来事であり、自らの生きる時代のメカニズムを明らかにせずして、我々は自らが直面する問題を解決する事はできない、ということだ。本書の受賞により、少しでも多くの人が、この困難な現代史研究という課題に目を向けてくれることになれば、幸いである。

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(国際協力研究科)