サステナビリティの追求に挑戦を オランダ王国の前首相が講演しました

2015年10月22日

オランダ王国の前首相で、アーンスト・アンド・ヤング(EY)パートナー エラスムス大学教授のヤン・ペーター・バルケネンデ氏が10月16日、神戸大学社会科学系教育研究府の招きで本学を訪れ、「アントレプレナーシップ(起業家精神)、イノベーション(革新)とサステナビリティ(持続可能性)」と題して講演しました。

バルケネンデ氏は来日前に訪れたシンガポールが、インドネシア・スマトラ島の焼き畑によるヘイズ(煙霧)のためマスクが必要なほど大気汚染に悩まされていたことを紹介。米国のアル・ゴア元副大統領が制作した映画で、アイスランドやアラスカなどの氷山が消失していることが描かれたことに触れ、「持続可能性は私たちの子ども、孫を含むすべての人々の生活の質を左右する」と、環境問題、エネルギー問題、人権、政治や企業活動の透明性の重要性を強調しました。そして、「すべての企業は経済価値だけでなく、社会的価値も生み出さなければならない」と企業活動が変化を迫られている現状を説明。1970年代までは経済成長が環境破壊を伴ったため、「ストップ・グロース(成長の停止)」が求められたが、現在は「サステナブル・グロース(持続可能な成長)」が必要になっているとし、資源の再利用などサーキュラー・エコノミー(循環経済)に貢献する企業の社会的責任が重要になっていると訴えました。米国のタイルカーペットメーカーが再生可能な原料に切り替えた取り組みや、オランダの銀行が投資先の基準としてサステナビリティ(持続可能性)を重視していることなど具体的なエピソードも紹介しました。

一方、イノベーション(革新)に関しては、シンガポールで聞いたソフトバンクの孫正義社長の講演が印象的だったことから話を始め、すべての電気器具や機械がインターネットでつながる「I o T(インターネット・オブ・シングス)」などによって、「将来はすべてが変化する」と予言。富士フイルムが写真フィルム中心から医薬品などへと大胆に事業構造を転換したことなどを紹介し、イノベーション(革新)の重要性を強調しました。聴講した学生たちに、「次世代の代表」として、コストのかかるサステナビリティ(持続可能性)の追求に挑戦するよう呼びかけました。

バルケネンデ氏は、アムステルダム自由大学経済学部教授(非常勤)の後、2002年から4期8年間、オランダ王国の首相兼総務大臣。2010年にエラスムス大学ロッテルダム校教授に就任、2011年からはロンドンを本拠とする監査法人、アーンスト・アンド・ヤング社のパートナーも務めています。

(社会科学系教育研究府、総務部広報課)