人文学研究科地域連携センター主催・兵庫県文化遺産防災研修会を開催しました

2017年08月03日

平成29年7月5日(水)、農学研究科B棟101教室を会場に、本学人文学研究科地域連携センター、兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会の3者主催により兵庫県文化遺産防災研修会を開催いたしました(COC+ひょうご神戸プラットフォーム協議会共催)。

本研修会は、地震や風水害などの自然災害から地域の文化財や展示物を守るため、兵庫県内の文化財担当職員や博物館・資料館学芸員らが一同に会し、防災対策を話し合い、大規模災害発生時の一時保管や修復などの県内相互支援体制の構築に向けた、情報共有の場として開催しました。

なお本会は、研修会としての性格上、兵庫県教委を通じて県内の各自治体、および神戸市教委を通じて神戸市の文化財担当者に参加を呼びかける形をとり、事前申し込みで22県市町から42名がありましたが、そのほか4名の外部参加者、スタッフも合わせて参加者数は27機関57名となりました。なお、今回は一般からの参加は募っておりませんでしたが、将来、文化財保存にかんする就職を希望する本学の学生・院生の聴講は歓迎することとし、結果的には3名の学生の聴講がありました。

研修会の冒頭では、本会の開催実現にあたり主催3者の間に立って多大なお骨折りをいただいた京都造形芸術大学名誉教授で国立文化財機構文化遺産防災ネットワーク有識者会議座長の内田俊秀氏より挨拶および本会の趣旨説明がありました。

引き続き講座に入り、まず第1講として兵庫県教育委員会文化財課長の山下史朗氏より「兵庫県の文化財防災体制について」と題し、兵庫県を中心とする文化財防災体制確立へむけた取り組みの経緯を述べられ、現在ではすべての文化財(未指定含む)を対象に近畿圏レベルで相互応援する被災対応ガイドラインが関西広域連合で議論されていることが紹介されました。第2講は神戸市危機管理室計画担当課長の清水陽氏より「神戸市の防災体制について」と題し、神戸市の地域防災計画の取り組みを講じられ、近い将来には市教委文化財課とも連携して計画に文化財への対応を盛り込んでいけるよう話し合って行きたい旨を述べられました。休憩を挟み第3講として本学地域連携推進室長の奥村弘より「地震等災害後の文化遺産防災を進めるために」と題し、阪神淡路大震災から東日本大震災にいたる大規模地震災害や2004年以上は大規模水害時の文化遺産保全活動の取り組みを歴史資料ネットワークの活動とともにあと付け、被災地の再建には過去と現在の記憶を未来につなぐ文化財を「地域歴史遺産」として日常的に保全していく事の重要性を述べました。最後に第4講として本学地域連携推進室特命准教授の松下正和より「兵庫県内での風水害による水損史料救出活動について」と題し、2004年以来本格的に対応を始めた被災資料の保全活動について具体的に講義しました。

その後は少し休憩ののちシンポジウム形式のディスカッションを行いました。議長は奥村が務め、フロアからの質問(兵庫県南海トラフ巨大地震・津波被害想定、文化財罹災状況調査ガイドライン、県内文化財の所在状況調査などについて)に講師陣が答える形で進められました。また市町の文化財担当が災害時に他の業務に廻されたあと本来業務に復帰するタイミングをめぐる議論がなされ、各自治体の地域防災計画の中に文化財への対応が盛り込まれていることの必要性、県や市町が日常的にネットワークを構築しておくことの重要性などが確認されました。

最後に、神戸市教育委員会の文化財課長の千種浩氏より、阪神淡路大震災以来、行政内部の世代交代も進む一方で防災対策はあまり進んで来なかったのに対し、史料ネットなど行政外の新しい動きが進展してきている中、行政でもそうした動きを総合的に捉える必要があることなどを述べられて、閉会の挨拶とされました。

(人文学研究科地域連携センター)