ストラスブール大学とのコチュテル(博士共同指導)の博士学位論文公聴会を開催しました

2017年12月21日

12月15日、深江キャンパス総合学術交流棟の梅木Yホールにおいて、ストラスブール大学(仏)とのコチュテル(博士共同指導)の、博士学位論文公聴会が開催されました。

コチュテルは、一つの博士論文を二つの大学で指導し、学位も双方の大学で取得できるという制度です。神戸大学では、ストラスブール大学と学術交流協定を締結しており、2015年度から博士後期課程の院生に対するコチュテルを開始しています。

今回の公聴会で発表したのは、海事科学研究科博士後期課程の楠本多聞院生で、論文タイトルは” Radial Electron Fluence around Ion Tracks as a New Physical Concept for the Detection Threshold of PADC Detector (PADC 検出器の閾値に対する新しい物理指標としてのイオントラック内径方向電子フルエンス)”でした。

公聴会には、ストラスブール大学から、副学長であるクリステルロイ教授と指導教員のレミバリオン教授が参加。神戸大学からは、研究推進担当副学長の小田啓二教授、先端融合研究環研究環長の藏重久弥教授、海事科学研究科の蔵岡孝治教授、指導教員の山内知也教授が参加し、日仏両国の外部機関の専門家の方々も交えて、審査が行われました。

楠本院生の研究は活力に満ちたもので、海外ではストラスブール大学の他にも、フランスのフランシュコンテ大学、フランス国立重イオン加速器研究所、カナダのシェルブルック大学にて実験を行いました。日本国内では、QST放射線医学総合研究所や大阪大学産業科学研究所、理化学研究所の仁科加速器研究センターで実験を行い、神戸大学理学研究科物理学専攻でシミュレーションの手ほどきを受けるなど、様々な機関での実験と研鑽を重ねたものでした。

公聴会後の審査委員会での質問に対する応答も的確であり、分析化学的実験と物理モデルを使ったシミュレーションという異なる2つの分野の活動を横断する成果を導いていること、研究の成果として「径方向電子フルエンス」という新しい物理概念を提唱するところに到達していることが特に評価され、優れた得点が与えられました。

楠本院生と公聴会参加者には、すぐさま審査委員会の結果が報告され、同公聴会は成功裏に終了しました。楠本院生には博士(物理化学)の学位が授与されます。ストラスブール大学と神戸大学との、研究及び教育面での協力を一段高いステージに引き上げる内容となりました。


公聴会詳細

発表者
楠本多聞 院生(海事科学研究科博士後期課程)
研究内容
・論文タイトル
Radial Electron Fluence around Ion Tracks as a New Physical Concept for the Detection Threshold of PADC Detector (PADC 検出器の閾値に対する新しい物理指標としてのイオントラック内径方向電子フルエンス)
・研究内容
「PADC」とは、ポリアリルジグリコールカーボネートという光学材料として開発されたプラスチックで、イオンの通り道を高い感度で記録する素子として宇宙飛行士や大型加速器周辺の被曝線量管理に実用されています。楠本院生の研究はそのイオンの通り道の分子構造と形成過程を分析化学的実験と物理学的シミュレーションによって詳しく調べたもので、タイトルにもある「イオントラック内径方向電子フルエンス」という新しい物理概念をその通り道の記録特性を記述するために提唱しています。
審査参加者(仏)
・ストラスブール大学副学長 クリステルロイ教授
・ストラスブール大学 指導教員 レミバリオン教授
 (フランス国立研究所CNRS ユーベルキュイア学際研究所IPHC 所長)
・フランス国立重イオン加速器研究所GANIL イベッタンゴノラバシェ研究員
 (重イオン学際研究センターCIRIL)
・フランシュコンテ大学 ミッシェルフロム教授
審査参加者(日)
・研究推進担当副学長 小田啓二教授
・先端融合研究環研究環長 藏重久弥教授
・海事科学研究科 蔵岡孝治教授
・海事科学研究科 指導教員 山内知也教授
・量子科学技術研究開発機構QST高崎量子応用研究所 田口光正上席研究員

(海事科学研究科)