光触媒を活性化するメカニズムの一端を解明

2015年08月04日

神戸大学大学院理学研究科の大西洋教授らの研究グループは、人工光合成に用いる光触媒に金属元素を加えることで反応が活性化する仕組みの一端を解明しました。これまでの定説をくつがえすもので、今後より効率的な光触媒の作成に貢献することが期待されます。この研究成果は4月24日、ACS Catalysisに掲載されました。

ストロンチウムを添加したタンタル酸ナトリウム光触媒のラマンスペクトル。星印は、ストロンチウムがタンタルと入れ替わったことを意味する。

現在私たちが利用するエネルギーの多くは石油などに由来しており、近い将来枯渇することが危惧されています。人工光合成は、太陽光や水から化学エネルギーをつくり出し、従来のエネルギーに代替する手段として注目され、さまざまな研究が行われています。なかでも45年程前から盛んに研究されているのが、天然に存在しない水素ガスを光触媒によって水から取り出すという手法です。

2000年には、日本の研究チームが最も効率的に水素を発生させるタンタル酸ナトリウム(NaTaO3)という光触媒を開発し、さらにこの光触媒にストロンチウム(Sr)やランタン(La)などの金属元素を数%加えると水素の発生効率が10倍に上昇することをみいだしました。金属元素を加えると反応が活性化する要因は、添加した金属元素が同程度の大きさをもつナトリウム(Na)の一部を置き換えることにあると想像されてきましたが、これを確かめる研究はこれまで十分になされていませんでした。

大西教授らの研究グループは、タンタル酸ナトリウムにストロンチウムを加えた化合物を二通りの方法で作成。その結果、ストロンチウムがナトリウムの一部と置き換わったものと、タンタル(Ta)の一部と置き換わったものの2種類の化合物が生成しました。2種類の化合物をラマン分光法という分析手法により確認したところ、より効率よく反応をおこす光触媒は後者であることがわかりました。15年来の定説をくつがえす発見であるということができます。

大西教授は、「今回明らかにした仕組みが、より良い光触媒を作成する際の切り札となってほしい」と期待を寄せています。

ストロンチウムを添加したタンタル酸ナトリウム光触媒の走査電子顕微鏡写真。粒子のかたちと大きさが二種類の光触媒でまったく異なることがわかる。
【左】固相合成法で作製した光触媒(ストロンチウム濃度1%) 【右】水熱合成法で作製した光触媒(ストロンチウム濃度2%)
掲載雑誌
ACS Catalysis
論文タイトル
Electron–Hole Recombination Controlled by Metal Doping Sites in NaTaO3 Photocatalysts
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(理学研究科、広報課)