背の高い木は貯水タンクを持っていた

2015年10月27日

神戸大学大学院農学研究科の石井弘明准教授と、同博士後期課程の東若菜さんらの研究グループは、樹高世界一のセコイアメスギの葉に存在する貯水組織が、樹高日本一の秋田スギにも同様に存在することを発見しました。この研究成果は9月4日、樹木学専門誌「Trees」にオンライン掲載されました。

秋田スギに登って調査する石井准教授

樹高の高い木はどのように梢端部(樹木の一番上の部分)まで水分を供給しているのか――。これまで、根から吸収した水分を先端まで運ぶには輸送距離が長いため梢端部付近では水分不足になると考えられていました。樹木学会でも、どこまで水分を運ぶことができるかといった限界を探る研究が主流でした。

石井准教授らは2012年、樹高世界一のセコイアメスギに登り、さまざまな高さの葉を採取。高さに比例して根から水を吸い上げる組織(仮道管)が少なくなる一方で、葉の表面から吸収した雨や霧の水分を貯める組織(移入組織)の割合が多くなることを発見しました。

さらに2014年9月、樹高日本一(50メートル以上)の秋田スギにも同様の組織があるか調査を実施。樹上で採取した葉を瞬間冷凍して電子顕微鏡で観察し、夜間に水を含み膨らんだ移入組織の細胞が日中は収縮している様子を撮影。セコイアメスギと同様の貯水機能があることを確認しました。

セコイアメスギや秋田スギをはじめとする樹高の高い樹種は、葉の貯水組織が給水タンクの役割を果たし、日中水分不足になりやすい梢端部での光合成などの生理機能維持に寄与していると考えられます。森林の最大樹高は、木材生産量やCO2吸収量を規定するため、石井准教授は、「気候変動に対する樹木の成長応答や森林の温暖化防止機能の変化予測につながるのでは」と話しています。

瞬間凍結した秋田スギの葉の移入組織の走査電子顕微鏡写真。夜明け前、移入組織の細胞(tt)は、水を含んで膨らんでいた(写真A)が、日中は水を含んだまま収縮していた(写真B:細胞の形状がわかるように水を昇華させて撮影。p:師部、x:木部、bs: 維管束鞘、m:葉肉細胞)
掲載雑誌
Trees
掲載論文
" Function and structure of leaves contributing to increasing water storage with height in the tallest Cryptomeria japonica trees of Japan"
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(農学研究科、広報課)