沈み込んでいくプレートの流れる方向を解明-岡山大・神戸大など研究グループ-

2016年10月18日

岡山大学惑星物質研究所の辻野典秀JSPS特別研究員(PD)、山崎大輔准教授と愛媛大学の西原遊准教授、神戸大学大学院理学研究科の瀬戸雄介講師、公益財団法人高輝度光科学研究センターの肥後祐司研究員、東京工業大学理学院の高橋栄一教授らの共同研究グループは、ブリッジマナイト多結晶体の大歪(だいひずみ)せん断変形実験に成功し、沈み込んだプレート近傍の地球下部マントルの流れの方向を明らかにしました。本研究結果は10月17日(英国時間午後4時)、英国科学雑誌「Nature」のLetterとして公開されました。

図1.ブリッジマナイトの結晶構造

地球マントルの物質循環(プレートの沈み込み等)を理解する上で、マントルの流動特性を知ることは必要不可欠です。特に、深さ660km以深の下部マントルは、マントル全体の約70体積%を占めており、そのおよそ77体積%がブリッジマナイトという鉱物が占めると考えられています。そのため、ブリッジマナイトの流動特性の解明は、下部マントルの流動特性を理解するために大変重要な意味を持っています。  しかしながら、実験の困難さから、下部マントルの条件下において、せん断変形によって引き起こされるブリッジマナイトの結晶選択配向は、明らかとなっていませんでした。

 

本研究チームでは、兵庫県にある世界最大級の大型放射光施設「SPring-8」を使用し、下部マントル上部の温度圧力条件(25万気圧、1600℃)でせん断変形実験を行うことによって、世界で初めて、変形に伴うブリッジマナイトの結晶選択配向を明らかにしました。この結果をもとに、これまで報告されている地震波速度異方性から、沈み込んでいるプレートの流れの方向を明らかにしました。この成果は、火山や地震に影響を与えるマントルダイナミクスの理解に大きく貢献するものです。

さらに、本研究での変形実験技術の開発で、下部マントル条件での大歪変形実験を可能としたことにより、今後更なる下部マントル鉱物の流動学(特に粘性率)に関する重要な知見を提供できるようになると期待されます。


     図2.トンガーケルマディックスラブ近傍の地球マントルの内部構造

詳細(プレスリリース資料・PDF)


論文情報

タイトル
”Mantle dynamics inferred from the crystallographic-preferred-orientation of bridgmanite”
著者
Noriyoshi Tsujino, Yu Nishihara, Daisuke Yamazaki, Yusuke Seto, Yuji Higo, Eiichi Takahashi
この研究は辻野典秀JSPS特別研究員の東京工業大学での博士論文研究を発端とし、JSPS KAKENHI Grant Number 15J09669によって支援されました。
掲載誌
Nature
DOI
10.1038/nature19777

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(理学研究科、広報課)