「熟練タイピストはキーボードの配列を記憶していない」 嶋田海事科学研究科教授の共同研究、米国のネットで大人気

神戸大学海事科学研究科の嶋田博行教授と芦高勇気大学院学生とヴァンダービルト大学 (米国・テネシー州) のクリスティ・スナイダー大学院学生とゴードン・ローガン教授らの認知心理学者のチームとの共同研究結果が米国のネットニュースで大人気になっています。オリジナルの論文のタイトルは「熟練タイピストはキーボードの配列を記憶していない」 (What skilled typists don't know about the QWERTY keyboard) でAttention, Perception, & Phychophysics誌に掲載されましたが、多くのニュースサイトにこの研究が紹介され、ヴァンダービルト大学の広報ランキングで2013年度の1位になったほか、動画サイト「ユーチューブ」で2013年12月からの2カ月で21,819回再生。「SCIENCE & TECHNOLOGY」「The NEW REDDIT JOURNAL of SCIENCE」など8つのサイトで紹介されています。

研究は100人のアメリカのボランティア学生の参加者を使用して行われ、タイピングの経験は平均11.4年でした。参加者は通常のキーボードを毎秒6回、94パーセントの精度で正しい位置に指を移動させ、毎分72字を入力しました。ところがキーボード配置の空白部分に、対応するアルファベットなどを記入してもらうと平均15文字しか回答できませんでした。つまり、熟練したタイピストは、自覚せずにタイプする能力 (automatism) を保っていたのです。

研究の結論は、熟練タイピストでも、キーボードの配列を約半分しか覚えていないという驚くべきものでした。コンピューターやキーボードは今やユビキタス (いつでもどこでも利用者が意識することなく) になっており、特に、アメリカでは小学校2年生からタイプライティングの授業で指配置を練習します。

嶋田教授は「欧米ではタイプライティングの技能はとても重要です。この研究は私達が日本人の学生にデータをとり、それに基づいてアメリカの学生を対象とする研究につながりました。日本では大学生でもブラインドタッチできる人の比率はたったの15パーセントしかいず、驚くほど低い率ですが、アメリカでは85パーセントを超えます。それなのにアメリカの学生でも日本人の同様にキーボード配列を記憶していない人が大半というのは驚きだと思います」と話しています。

関連リンク
論文: Snyder, K. M., Ashitaka, Y., Shimada, H., Ulrich, J. E., & Logan, G. D. (2014). What skilled typists don't know about the QWERTY keyboard. Attention, Perception & Psychophysics, 76, 162–171. doi:0.3758/s13414-013-0548-4

(広報室)

2014年2月21日