神戸大学

企画展「青野原収容所俘虜がみた日本 ~新発見の俘虜撮影写真から~」

2011年10月01日-30日

神戸大学と小野市との間では、2005年1月、社会文化にかかわる連携協定が結ばれ、それ以来さまざまな共同事業を展開してきました。中でも兵庫県小野市~加西市にまたがる第1次世界大戦中の青野原俘虜収容所に関する調査研究は、市民と大学が一体となって進められ、しかも国際的にも展開したユニークなものでした。今回の展示会、演奏会は、2005年に最初に小野市好古館で展示会、演奏会を開いてから6年、その間の活動と新たに得られた知見を市民の方々に還元すると同時に、これからの調査研究に向けて新たなエネルギーの注入を狙った野心的なものです。地域と大学と国際社会の連携の中で初めて可能になる研究の醍醐味を味わっていただければ、と思います。

企画展「青野原収容所俘虜がみた日本 ~新発見の俘虜撮影写真から~」

会期
平成23年10月1日 (土) ~ 10月30日 (日)
場所
小野市立好古館 2階展示室
経緯と目的

第1次世界大戦当時、兵庫県青野原には俘虜収容所があり、ドイツ兵、オーストリア=ハンガリー兵、合わせて500余名が収容されていました。収容所内で俘虜たちは、それぞれに趣味や娯楽を見いだして日常生活を送り、スポーツや俘虜の製作品を通じて、地域住民との交流をすすめ、それにより地域社会に新たな文化や技術が伝わりました。地元には、これらに関わる工芸品、絵画、金属加工品、遺物、写真などが数多く残されています。また日本の捕虜収容所体系の中で青野原が担った役割は、オーストリア=ハンガリー兵の収容にありました。オーストリア=ハンガリーは多民族国家であり、ドイツ兵とあわせて箱庭の国際社会を作っていました。その箱庭の国際社会が生み出す豊かな世界と緊張が調査研究の結果、解明されてきました。だからこそ、その成果はもう一度国際社会に還元されなければならないと考え、捕虜兵の故国の一つであるオーストリア・ウィーンの国立文書館で2008年に展示会を開きました。

そしてそうした国際展開は調査への新たな糸口を与えてくれました。遺族の残した写真が提供されたり、文書館で新たな資料が発掘されることになりました。小野市民と神戸大学は今度はこの新たな資料を手がかりに共同で検証作業に当たりました。今回の展示はその検証結果の公開であり、それは青野原周辺地域の大正期の生活に新たな光を当てることになります。正に地域と大学の連携事業が国際的に展開してもう一度地域に戻ってくる、その姿を地域の人に見ていただきながら、地域の人たちの知恵をお借りしてまた新たな展開の糸口を得る、そこに今回の展示会の目的があります。

展示概要
  • 俘虜が撮影した写真から、当時の収容所生活、俘虜が感じた日本の文化や風習、地域住民との交流の様子を紹介するほか、撮影された場所とその現状の写真を比較して展示する。
  • 平成17年度の小野市立好古館の特別展で展示した資料や、その後の調査で判明した青野原収容所の俘虜の生活ぶりを紹介する。
入館料
大人 (高校生以上) ¥200、小中学生 ¥100
主催
小野市、小野市教育委員会、神戸大学
後援
小野の歴史を知る会
展示会に関する問い合わせ先
小野市立好古館 0794-63-3390
神戸大学人文学研究科大津留研究室 078-803-5532

関連演奏会

青野原収容所の俘虜たちは、戦争が終結し1920年に帰国が完結するまでの間、楽団による定期的な演奏会も開き、地域住民もこれに聴衆として参加したことがわかっています。この演奏会の復元についても、発達科学部の田村文生准教授、文学部の長野順子教授らの調査研究によりすすみ、それにもとづく再現コンサートをこれまで神戸大学交響楽団の協力を得て何度か開いている (2005年小野市、2006年学内、2008年ウィーン、2009年東京)。今回、新しく発見された楽団の写真から楽器等の編成を再現して、神戸大学交響楽団による「青野原俘虜収容所再現コンサート ~時空をわたるがく楽のね音~」を開くことになりました。

神戸大学での再現コンサート

場所
神戸大学出光佐三記念六甲台講堂
日時
2011年10月14日 (金) 19:00開演
演奏
神戸大学交響楽団
曲目
  1. ベートーベン「エグモント」序曲
  2. ヴュータン「レヴリ」
  3. ボワエルデュー歌劇「バクダッドの太守」序曲
  4. ラムゼーガー交響詩「忠臣蔵」序曲
講演
神戸大学交響楽団
入場
無料
大学での再現コンサートの問い合わせ先
神戸大学連携推進課産官学連携グループ 078-803-5472

小野市での再現コンサート

場所
小野市うるおい交流館エクラホール
日時
2011年10月16日 (日) 13:30~16:00 (13時開場)
演奏
町の音楽好きネットワーク・神戸大学交響楽団
曲目
  1. ベートーベン「エグモント」序曲
  2. ヴュータン「レヴリ」
  3. ボワエルデュー歌劇「バクダッドの太守」序曲
  4. ラムゼーガー交響詩「忠臣蔵」序曲
講演・解説
大津留厚、長野順子 (神戸大学教授)
入場
無料
小野市での再現コンサートの問い合わせ先
小野市立好古館 0794-63-3390