神戸大学

第170回 都市安全研究センター (RCUSS) オープンゼミナール

2013年03月16日

都市安全研究センター (RCUSS) オープンゼミナールは、広く社会に都市安全研究センターの活動を広く公開するとともに、関連する各分野の皆様からの報告を通じて、安全な社会としていくための研究や実践のあり方を議論しています。大学の教職員・学生のほか、安全・安心に関心を持つ市民の方々や、コンサルタントなどの民間企業の方々、自治体の消防・建築・地域関係の職員の皆様などが参加されています。

参加費は無料で、事前登録不要です。ご興味のある方は遠慮なくご参加ください。

開催概要

日時
2013年3月16日(土)14:00~17:00
会場
神戸市役所4号館 (危機管理センター) 1階会議室
(所在地: 兵庫県神戸市中央区江戸町97-1、TEL: 078-322-5740)
司会
神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦
お問い合わせ先
神戸大学都市安全研究センター
(所在地: 兵庫県神戸市灘区六甲台町1-1、TEL: 078-803-6437、FAX: 078-803-6394)
詳細情報
神戸大学都市安全研究センター RCUSSオープンゼミナール
プログラム
  1. 震災時の一斉避難・集団行動に起因する問題を考える ―ビル避難から帰宅困難問題まで―
    関澤 愛 (東京理科大学大学院・国際火災科学研究科・教授)

    東日本大震災では、震源域から遠く離れた東京などの都市においても、多くのビルで全館避難が行われ、多数の避難者がビルの敷地内、あるいはその周辺路上などの街区内に滞留する事態が生じた。さらには、公共交通機関のストップによって、これらの滞留者が大量の帰宅困難者ともなった。このような大規模地震時のビル全館避難、ターミナル駅周辺での滞留、さらには帰宅困難の問題は、それぞれ個別の現象として起きているのではなく、相互に密接に関連した連続的な事象である。これらの問題に通底する課題に焦点を当てて、過去の経験から一歩踏み出して従来の想定を超える現象、事象への対応の必要性について考察してみたい。

  2. 激震後の全館避難シナリオと混雑度の評価に関する研究 ―東北地方太平洋沖地震後の仙台市内の百貨店における事例を通じて―
    野竹 宏彰 (清水建設 (株) 技術研究所主任研究員)
    岩崎 啓太 (神戸大学大学院工学研究科建築学専攻博士前期課程)

    不特定多数の在館者が想定される商業施設において、大地震時には、屋内の物品散乱や停電等により、全館避難を余儀なくされる可能性が高い。さらに、避難誘導が適切になされない場合、避難時の混雑や混乱による二次災害の危険性も高まることが懸念される。本研究では、激震時の商業施設における避難誘導方策の留意点について検討・考察する。

    本発表では、東北地方太平洋沖地震時の仙台市内の百貨店における避難誘導の状況を、ヒアリング調査等で得られた情報をもとに、避難シミュレーション上で再現する。そして、在館者がさらに多い場合を想定し、現状の避難誘導上の課題と、より有効な誘導方策について考察する。

  3. 広域避難と帰宅困難
    廣井 悠 (名古屋大学減災連携研究センター准教授)

    大量の通勤者が朝夕移動を繰り返すなど、ヒト・モノ・カネ・情報の全てが集まる大都市。この集積は日本の経済・産業をリードする大きなメリットであるものの、ひとたび災害が発生すれば集まることによる様々なリスクが同時に顕在化し、その被害は各所へ波及する。2011年3月11日に首都圏を中心として発生した帰宅困難者問題は、まさにこの典型例といえよう。そして3.11の夜に帰宅困難者問題として東日本大震災で顕在化した各課題は、災害情報の問題をはじめとして、大都市における滞留者の安全確保に関する現状の課題を浮き彫りにするものであったといえる。本講演ではこれらの問題について、東日本大震災から約2年が経過するいま、再考するものである。

(都市安全研究センター)