神戸大学

講演会「私たちの身近にいる見えにくい外国人」を開きました

2009年05月18日

4月24日、国際文化学部の教室で、講演会「私たちの身近にいる見えにくい外国人」を実施しました。学生サークルである神戸大学学生震災救援隊が主催、神戸大学総合ボランティアセンターが共催したもので、神戸大学学生ボランティア支援室もこの開催を共催しています。

講演会

NPO法人「神戸定住外国人支援センター」理事長の金宣吉氏を講師としてお招きし、「私たちの身近にいる見えにくい外国人――日本に定住する外国人の現状」と題した講演会には、新入生、上級生、教職員、地域住民の方、合わせて40名以上が参加しました。

講師の金さんは、神戸生まれの母親と東京・板橋生まれの父親の間に生まれた在日コリアン3世です。当時、在日の人たちが置かれた経済状況は厳しく、たとえば外国人として扱われたために国民健康保険には入れず、高額な医療費の支払いなどが重い負担となっていました。現在でも、外国人へのステレオタイプなイメージは解消されませんが、金さんは「自分のふるさとは間違いなく神戸だし、紅茶やコーヒーを好む神戸の文化が、自分には色濃く影響している」と言います。

初めて韓国に行った時には、町中でしばしば「日本人」扱いされたそうです。また日本に暮らすベトナム人の多くが本名ではなく通称名を使っていることなどに触れ、「『見える』外国人と『見えない』外国人という問題がある」と指摘しました。見える外国人とは見た目や言葉が違い、日本人が意識している外国人です。ところが在日や華僑やベトナム人には関心が寄せられず、「日本人が見たい外国人しか見ていない」という現状があります。

講演会

金さんたちは現在、定住外国人の子弟には高校程度の学力をつけさせ、社会に参加する権利を得られることを目指す活動にも取り組んでいます。多様性のある社会を作るために必要なことをしていきたいと述べて、講演を終えました。

参加した多くの学生からは、「これまで当然と思ってきた日本人、外国人という括りや区別を考え直すきっかけとなった」「『見たい外国人』を選んでいることに気づかされ衝撃を受けた」「多文化共生や多様性を持つ社会について考えさせられた」という感想が寄せられました。

(都市安全研究センター・学生ボランティア支援室)