神戸大学

神戸大学は神戸・ポートアイランド地区に進出し、先端融合研究を推進します

2009年08月04日

神戸大学は神戸・ポートアイランド地区に進出し、統合研究拠点を整備することになりました。全学の先端融合研究を展開するとともに、他の研究機関や大学、産業界と連携し、産学官連携の拠点にします。記者会見を8月4日に開き、福田秀樹学長 (写真中央) が発表しました。

記者会見

報道発表資料「神戸大学がポートアイランドに進出」(PDF形式)

先端融合研究環とは?

神戸大学大学院自然科学研究科は、自然科学の新しい体系化とこれに対応した教育研究体制の整備と再編成を目指して、昭和56年4月、既設の学部、修士課程とは別に、新たに後期3年の博士課程のみの独立研究科として設置された。以来、各研究分野で幾多の国際的レベルの研究実績を積み重ねるとともに、数多くの研究者や、指導的人材を社会に送りだしてきた。その後、平成6年4月には、既設の自然科学系大学院3研究科 (理学、工学、農学研究科) を改組・改編 (第1次改組) し、自然科学研究科の前期課程として統合した。神戸大学自然科学研究科は前・後期課程に区分する博士課程となり、既存の各専門分野の枠にとらわれない新しい教育研究を通じて、学術研究のより一層の発展を期するとともに、幅広い関連専門領域にわたる基礎的学識と総合的見地からの高度な研究能力を有する人材を育成することとなった。

先端融合研究環とは?

しかし、自然科学研究科設置後、多くの年数を経過して人材育成と研究推進をもっと効果的に進めるために、更なる大学院の改革を具体化する機運が高まった。自然科学系先端融合研究環は、平成19年4月の大学院自然科学研究科改組の一環として、自然科学系大学院の4つの研究科、即ち理学研究科、工学研究科、農学研究科、海事科学研究科とともに設置された新しい部局である。先端融合研究環は、21の重点研究チームからなる「重点研究部」と、5つの研究センターからなる「センター群」で構成される分野横断的な組織であり、神戸大学の自然科学系の連携の中軸として、 4研究科と協同しつつ、自然科学系の先端的研究の推進を図り、学際性・総合性の調和のとれた教育研究を発展させることを目的としている。

今回、形成しようとしている全学の先端融合研究拠点は、上記の自然科学系先端融合研究環における分野間の融合研究に止まらず、人文・人間科学系、社会科学系、医学・生命系、自然科学系の各分野間の融合研究を推進しようとするものである。これにより、従来にないイノベーション研究が推進されるものと期待される。

自然科学系先端融合研究環は神戸大学のイノベーション研究の原動力となっているのか?

研究の活性化度の指標は、科学技術振興調整費、奨学寄附金、受託研究費、共同研究費などであろう。自然科学系先端融合研究環が設置されたのは平成19年4月であるが、下表に示すようにそれぞれの外部資金獲得額は平成19年度より格段の上昇傾向が読み取れる。自然科学系先端融合研究環における研究の活性化が、これらの外部資金獲得額の増加の原因の全てであるとは言えないが、平成19年度の神戸大学自然科学系先端融合研究環の設置と時期を同じくして、神戸大学の研究推進が加速されていることが読み取れる。

科学技術振興調整費 (千円 , 件)
15年度16年度17年度18年度19年度20年度
交付額100,863134,13381,315107,514399,438
件数47443
15年度16年度17年度18年度19年度20年度
奨学寄附金1,096,1231,533,5431,458,1411,555,6202,083,5832,377,900
受託研究費1,779,1211,176,1201,083,2511,202,9021,836,9812,661,669
共同研究費223,683400,146601,257539,873564,172581,946
合計3,098,9273,109,8093,142,6493,298,3954,484,7365,621,515

先端融合研究環のような組織は国内外にあるのか?

イノベーション研究を強力に推進するために、異なった専門分野の研究者が協力し合いながら、分野にとらわれない斬新な発想を持ち寄って、お互いに切磋琢磨することが重要であることは、万人が認識していることである。

Inter-disciplinary collaboration research は、多くの大学で実施されている。例えば、医工連携協同研究、農工連携協同研究などがその例である。国内外の大学において「バイオ研究センター」を設置して、医、理、農、工などの分野の研究者が集結して研究推進を実施している例が多数ある。神戸大学の先端融合研究環は自然科学系の研究者の自由な発想から多様な重点研究チームを形成し、研究を推進することがユニークな点である。このような研究推進を自然科学全般にわたって部局として組織化していることが、神戸大学の特色であり、我が国の他大学には無い研究推進組織であり、海外でもその例が無い。