神戸大学

神戸大・中国地質大の合同隊がチベットの未踏峰登頂に成功しました

2009年11月09日

中国のチベット自治区にある崗日嗄布 (カンリガルポ) 山群の未踏峰、KG-2 (推定標高6,708m)の初登頂を目指していた神戸大学・中国地質大学 (武漢) 合同学術登山隊は11月5日、現地時間の午後1時20分(日本時間午後2時20分)に初登頂に成功しました。また、同7日午後3時36分にも第2登に成功しました。

神戸大学隊がチベットの未踏峰登頂に成功しました

7日、登山隊実行委員長で、留守本部を務める山形裕士・神戸大学農学研究科教授の研究室に、現地の井上達男隊長 (神戸大学山岳会長) から衛星電話で連絡がありました。同山群はインドやミャンマーとの国境に近く、外国人の立ち入りが厳しく制限されているため、これまで探検隊や登山隊がほとんど入っていません。6,000m以上の山が30座以上ありますがすべて未踏峰であり、今回の登頂は世界初の快挙となりました。

日中合同登山隊は、日本側隊員が一足先に現地から帰国した山形教授ら現役の学生2名を含む7名、中国側隊員が10名の合計17名からなります。日本側本隊は10月10日に関西空港を出発し、武漢で中国地質大学と合流して同大学での出発式に出席しました。

13日に空路、拉薩 (ラサ) に到着し、食糧の調達や荷物の梱包などの準備の後、15日、車4台とトラック1台に分乗して拉薩を出発、途中5,013mの米拉山 (ミラ) 峠を越え、林芝 (ニンティ)、然烏 (ラウォ) を経て三日間の川蔵公路のキャラバンの後に、10月17日に麓の村、拉古 (ラグ) に到着しました。翌、18日、荷物を担いだヤク (牛) 23頭、現地ポーター15名を含む大部隊で拉古を出発し、1日歩いて阿扎 (アタ) 氷河の末端にベースキャンプ (BC) を設営しました。

10月20日からルート工作に着手し、デポキャンプ、前進ベースキャンプ (ABC)、C1、C2、C3とキャンプを進めました。途中、雪などの悪天候のためキャンプに停滞を余儀なくされることもありました。氷河にはクレバスが多く、特に、750 mの標高差があるC1からC2の間は、危険なセラック (巨大な氷塊、氷塔) 地帯を超えなければなりませんでした。また、頂上に至る最後の登りも困難なルートでした。しかし、ついに11月5日にチベット人隊員2名 (德庆欧珠(デーチンオーチュン)と次仁旦塔(ツェリンダンター)、共に中国地質大学4年生) が初登頂に成功し、同7日には日本人隊員2名 (矢崎雅則35歳、近藤昂一郎23歳) も登頂に成功しました。

神戸大学隊がチベットの未踏峰登頂に成功しました

日本と中国の登山隊が共に協力し助け合い一致団結して困難を克服し、両国の隊員を登頂させることができました。日中合同学術登山隊として極限の地でこのように強く結束して登頂できたのは、1988年、今回同様に合同で四川省のチェルー山 (6,168m) 初登頂に成功して以来、両大学の山男達が友情を育み、友好関係を築いてきた賜です。

一行はこの後、1週間ほどかけて下山し、周辺の学術調査を実施後、武漢の中国地質大学での祝賀会に参加し、帰国の途につきます。

(学術登山隊実行委員会本部)

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