神戸大学

中国語版の『阪神淡路大震災研究』を出版しました

2010年01月06日

阪神淡路大震災研究(神戸大学震災研究会編、全6巻)

阪神淡路大震災の発生、被災、復興と防災に関する総合的研究として、7年かけて完成させた『阪神淡路大震災研究』(神戸大学震災研究会編、全6巻) の中国語版が、北京大学出版会から出版されました。これを記念して2009年12月22日、北京日本学研究センター (北京外国語大学内) で出版記念会 (写真) が開催されました。本学から、国際貢献の一環としてこの事業を行った国際交流推進本部を代表して瀬口郁子副本部長が、また、中国側との協議に当たった人文学研究科から佐々木衞研究科長らが出席しました。

中国語版の書名は『日本阪神大震災研究』で、日本語版6巻を抜粋して1巻にまとめました。中国国内で、37元で市販されています。

この出版事業は、2008年5月に起きた四川大地震に対し、阪神淡路大震災の際に直面した被災、緊急対策、復旧、復興の経験を役立てもらおうと、国際交流推進本部と北京日本学研究センターが共同で企画し、北京日本学研究センターの徐一平センター長 (神戸大学文化学研究科、Ph.D)、宋金文教授などが、翻訳など出版に向けて準備してきたものです。

出版記念会では、瀬口副本部長の挨拶の後、2つの講演が行われました。先ず、『阪神淡路大震災研究』の編集・執筆者である岩崎信彦神戸大学名誉教授が「日本・阪神大震災から見えてくるもの、考えること」と題する講演をおこない、阪神大震災の実情や課題を紹介しながら、災害復旧の経験を検証し、減災都市の建設に活かすことについて語りました。次いで、奥村弘人文学研究科教授は「阪神淡路大震災を次世代に『伝える』ことの意味」と題する講演で、災害復旧活動の一環として推進した「地域文化」の保存の様々な取り組みを紹介し、この活動の中で発展させた地域文化を研究する視点の重要性について語りました。

中国語版の『阪神淡路大震災研究』が出版されました

出版記念会には北京日本学研究センターの約70名の学生らが参加し、「震災を語り継ぐことの重要性や震災資料の収集・保存の必要性を改めて考え直した」といった感想がありました。

今回の翻訳出版の取り組みが、中国における防災・減災に関して自然科学と人文・社会科学による総合的な研究の発展に資することが期待されます。

(国際企画課)