神戸大学

歴史文化をめぐる地域連携協議会を開催しました

2010年02月02日

第8回・歴史文化をめぐる地域連携協議会が、「震災から15年―地域歴史資料の現在」というテーマで1月31日、神戸大学瀧川記念学術交流会館で開催されました。

人文学研究科主催のこの行事は、同研究科内の地域連携センターの1年間の活動を集約する目的で開かれており、今年は、同研究科が取り組んでいる文部科学省プログラム「古典力と対話力を核とする人文学教育」のフォーラム企画としても開かれました。

阪神・淡路大震災が発生してから、今年で15年を迎えました。大震災では、市民・自治体職員・大学関係者が協力して、被災した歴史資料や文化財の救済・保全活動がおこなわれました。これ以来、緊急時の文化財の防災対策、あるいは日頃から地域の歴史遺産を守るためにどうしたら良いか、さらにはそれをまちづくりに活かすために何が必要かなどについて各分野で議論され、また様ざまな実践的な取り組みも始まっています。

しかし活動の出発点となった阪神・淡路大震災後の救済・保全資料や文化財がその後どうなったのかについては、これまで個々の調査は実施されているものの、総括的な調査研究は未だ十分におこなえていません。

地域連携協議会

そこで本年度の協議会は、「震災から15年―地域歴史資料の現在」というテーマのもと、救出された歴史資料や緊急発掘された埋蔵文化財はその後どうなったのか、あるいは震災資料そのものの公開・活用状況はどうなったかなど、各分野における資料と文化財のその後の行方と現状について検証し、そこから見えてくる成果と課題について議論する目的で開かれました。

中村千春・地域連携担当理事副学長の開会挨拶、奥村弘・事業責任者 (地域連携推進室長) の主旨説明のあと、まず同センターの坂江渉研究員と松下正和特命講師が「阪神・淡路大震災と地域文献資料のその後」と題して報告。 次いで、地域連携推進室の佐々木和子研究員が「震災資料の15年」、芦屋市教育委員会の森岡秀人氏が「被災後の埋蔵文化財の復興調査の成果と課題」というテーマで報告し、さらに村上裕道氏 (兵庫県教育委員会)・大村敬通氏 (小野市立好古館)・平川新氏 (東北大学東北アジア研究センター)・吉原大志氏 (神戸大学大学院人文学研究科) らのコメントもおこなわれました。

討論では、歴史資料や震災資料を守り活用するための、有事のみならず平時から資料に眼を向けることの大切さ、人のネットワークをつくることの重要性、またそのための積極的な情報発信の確立の必要性、さらには15年たって新たに考えるべき論点を整理することの重要性、などの点をめぐり活発な議論がされました。

当日の参加者は、兵庫県内の自治体・大学関係者や住民団体の代表者を中心として49機関89名。なお本協議会は、兵庫県教育委員会、芦屋市教育委員会、小野市教育委員会の後援を受けるとともに、地域歴史資料学研究会 (科学研究費補助金・基盤研究 (S)「大規模自然災害時の史料保全論を基礎とした地域歴史資料学の構築」研究代表者・奥村弘神戸大学教授) と共催する形で開かれました。

(人文学研究科地域連携センター・坂江渉)