神戸大学

神戸大学復興支援プロジェクト「校庭にイワテヤマナシの花を咲かせよう」がスタートしました

2011年12月22日

花咲くイワテヤマナシ

「東日本大震災からの復興に向けた神戸大学からの提言 (第一次)」の一環として「校庭にイワテヤマナシの花を咲かせよう」の活動が始まりました。

農学研究科附属食資源教育研究センターの片山寛則講師他4人は12月6日から12日まで、津波で被災した三陸沿岸の小中高等学校、支援学校を訪問しプロジェクトの趣旨を説明しました。

岩手県北上山系に自生する野生梨の一種"イワテヤマナシ"(別名:ミチノクナシ) は宮沢賢治の童話『やまなし』に登場する梨と考えられており、岩手の人々にとっては大変象徴的な梨です。

純白なイワテヤマナシの花

片山氏はこれまで10年以上にわたりイワテヤマナシを探索・収集、研究材料として用いてきました。基礎研究が進むにつれ、"イワテヤマナシ"は現在の梨には無い様々な特性を持つことがわかり、貴重な遺伝資源であることが明らかになってきました。まさに岩手の宝であり、食資源教育研究センターで接ぎ木をして育てた苗木をいつか岩手にお返ししたいと考えていた矢先の震災でした。

本プロジェクトはイワテヤマナシの苗木を復興のシンボルとして被災地の学校に贈ろうというものです。木を植えることは未来に思いを馳せ、目を向けることです。春には純白の花が、初夏から秋には香りの良い小ぶりの果実が、子どもたちを楽しませてくれることでしょう。

吉里吉里小学校での説明風景

今回は県南の陸前高田市から宮古市までの43校を訪問し、合計23校から55本の苗木を育ててみたいというお申し出をいただきました。訪問した学校の中には、津波で学校そのものが壊滅的な被害を受けた所や、校庭に仮設住宅が建てられ地域の人々が暮らしている所、他校に仮住まいしている学校、今後統合が予定されている学校などもあり、その直面している状況は様々で、日常を取り戻すには長い年月を要すると思われます。本プロジェクトは今年度限りの取り組みではなく、復興の歩みにあわせて、息長く、続けて行きたいと考えています。

陸前高田 奇跡の一本松

第2回目として宮古市から久慈市までの学校を訪問し趣旨説明を行う予定です。3月には児童・生徒たちと共に苗木を定植するセレモニーを検討しています。

(農学研究科附属食資源教育研究センター)