神戸大学

「沢の鶴」が本学のベトナム人留学生2人に研究助成金 ― 先輩留学生が開発に貢献した日本酒をきっかけにした助成金の初授与

2012年08月07日

酒造メーカー「沢の鶴」(神戸市灘区新在家南町5-1-2、西村隆治社長) は8月7日、神戸大学大学院工学研究科建築学専攻の研究生、ゴック・レ・アン (NGOC LE ANH、27歳) さんと、大学院医学研究科循環器内科学専攻の大学院生、フン・トラン・バン(HUNG TRAN VAN、39歳) さんのベトナム人留学生2人に研究助成一時金を授与しました。1人10万円、計20万円です。

神戸大学は沢の鶴と共同で古代米「赤米」を原料にした日本酒を開発し、2010年11月に全国発売しました。開発のきっかけになった酵母を発見したのは、ベトナムから神戸大学農学研究科に留学していたヴ・ティ・ビッチ・ハウさん。06年10月に神戸大学と沢の鶴が共同研究「灘区発、灘の酒物語創出プロジェクト」をスタートさせたのを機会に、さまざまな花から有用酵母を取り出す作業を任され、最終的に「神戸市民の木」サザンカの花びらから取り出した酵母がアルコール発酵に適しているうえ、赤米のぬか臭さを消す効果もあることが分かりました。

この酵母を使った日本酒「茜彩 (あかねいろ)」は薄いピンク色で甘酸っぱく女性に人気です。沢の鶴はハウさんの功績に感謝するとともに、これを記念して今年、神戸大学に在籍するベトナム人私費留学生を対象にした研究助成一時金を設立。7日午前9時半から沢の鶴本社で授与式を行ったものです。西村社長は留学生2人に「ベトナムの方はハウさんはじめとてもまじめです。留学でぜひいい成果を上げてください」と話しました。

沢の鶴は、同じ酵母と赤米を使ってアルコール度数を10.5度に下げて軽いのみ口にした料飲店専用日本酒「茜10.5」(300mL) を7月17日に全国発売。フランス、イタリア料理店などでの消費を見込んだもので税別369円。茜彩とともに新しい灘ブランド商品に育てていく予定です。

(広報室)