神戸大学

六甲台の本館改修終わり、外壁タイルに輝き戻る

2012年11月05日

国の登録有形文化財に登録されている神戸大学六甲台本館の改修がこのほど終わりました。所々で割れたり欠けたりしていた外壁タイルも一部新しいものに取り替えられ、創建当時の輝きを取り戻しました。工事費は約3億5千万円です。

六甲台本館は1932年 (昭和7年) に完成した鉄筋コンクリート造3階建て延べ面積5202平方メートルの建物で、1995年の阪神・淡路大震災でもびくともしませんでした。六甲台本館の公開活用のための整備として、文化庁の補助金にて廊下等の共通部分の床・壁タイルの張り替え、自動火災報知器等の消防設備の設置などを行い、学内予算も投じて外部建具の改修や外壁タイルの修繕などを行ったものです。

改修工事は、創建工事を担当した大林組が一般競争入札で落札、平成24年5月17日から10月末まで行いました。

大林組の神戸大学本館改修工事事務所工事長、涌田肇さんによると、今回の改修で一番苦労したのは、創建当時のタイルと同じ形状、同じ色のタイルを新しく作ることでした。外壁タイルの大きさは、横227ミリ×縦60ミリ×厚20ミリで、色はベージュ系、タイルの表面に釘でひっかいたような跡を再現するために新たに型を起こしています。外壁タイルや窓周囲のテラコッタタイルは岐阜県多治見市の窯に特注し製作しています。形状や色合わせを何度も行い、設計監修者である足立裕司・工学研究科教授の了解を得るまでに3か月を要しました。それほど文化財の修復は難しいということです。

外壁補修の手順は、(1) 全数タイルの欠損調査、(2) 新しいタイル2360枚の張り直し、(3) 外壁全体の洗浄の工程で行われ、テラコッタタイルの一部に、戦時中に空襲対策のために塗られたコールタールの跡が点々と残っていることも確認されました。

また、本館車寄せの天窓からは創建当時の棟札 (1290ミリ×210ミリ×25ミリ、木製) も見つかり、建設に携わった人名が記されておりました。

(広報室)