神戸大学

武道場の修復終わり艱貞堂開館式

2012年11月05日

六甲台第一キャンパスグラウンドの北西端に建つ武道場、艱貞堂 (かんていどう) の修復が終わり11月3日、福田秀樹学長と、道場を長年鍛錬の場として使ってきた剣道部、柔道部、空手道部の代表が出席して開館式が行われました。

武道場は1935年 (昭和10年) の建築です。木造平屋建て、入母屋屋根桟瓦葺き360.5平方メートル。正面中央に切妻破風を備えた車寄せ玄関を配している本学唯一の近代和風建築です。寄る年波で屋根の野地板や、破風飾りである「懸魚 (げぎょ)」が腐食していたり、下見板張りの外壁もあちこち傷んでいる状態でした。建物も土葺き瓦屋根の重みで傾いており、内部の板戸上部に3センチほどの隙間ができるほどでした。剣道部、柔道部、空手道部のOBが中心になって約1400万円の寄附を集め、神戸大学基金から1000万円 (うち公益財団法人六甲台後援会500万円) を出し、5月17日から武道場の修復工事と部室棟の新営工事に取りかかり、8月13日には武道場が国の登録有形文化財に登録されました。

修復工事では耐震補強をどう行うかがポイントになりました。文化財としての外観を損なわず、かつ機能的にも支障が無いように、土台部分に耐震リングを設置し内壁部分にも荒壁パネルを設置する耐震補強としました。また、傾きの原因であった土葺き瓦屋根も、瓦の葺き替えにあたり土を撤去し屋根自重を軽くし、傾いた建物の建て起こしを行いました。屋根自重を軽くしたことによる吹き上げ風の対策として、垂木に105ミリ角の添え木を留め付け補強しています。武道場の修復工事費は施設整備費補助金もあり約5000万円でした。玄関の上には魚住和晃名誉教授が揮毫した艱貞堂の看板も掛けられました。

11月3日午前に行われた開館式で、「困難な場でも正しい行いをする」という艱貞堂の意味が紹介されました。修復の監修にあたった足立裕司工学研究科教授は「建築されて77年たつ艱貞堂にはその間の先輩たちの心がこもっている。後輩の皆さん、大事に使ってください」と参列した現役学生たちに話しました。

(広報室)