神戸大学

初の公開模擬裁判は爆笑の渦

2012年11月05日

10月に竣工した神戸大学模擬法廷棟「ラ・クール」で11月3日午後、竣工を記念して初めての公開模擬裁判が開かれました。裁判官役には元最高裁判事で京都大学名誉教授の奥田昌道先生、元神戸大学法曹実務教授で京都地裁第6民事部部総括判事の大島眞一先生、神戸大学名誉教授で早稲田大学法務研究科教授の磯村保先生を迎え、原告・被告役には神戸大学法学研究科の元研究科長、現研究科長を据え、代理人役などに神戸大学法科大学院を修了したばかりの7期生8人があたり、証人役にも現役の准教授や修了生があたる豪華版。神戸大学で発生した架空のイノシシ猪突猛進事件をめぐって争われた民事裁判の決着はいかがあいなりましたでしょうか。

想定された事件は満月の夜、神戸大学六甲台キャンパスで、窪田充見・法学研究科長 (仮称) が山本弘・元研究科長 (仮称) に月見を持ちかけたことから勃発したとされました。山本教授がベンチにすわって月見団子を取り出したとたん、イノシシが突進して月見団子を奪い取った上に山本教授のスマートフォンを壊して逃走。山本教授は右腕を骨折する大けがを負ったのでした。このイノシシは右後ろ脚に赤いリボンをまいており、ふだん窪田科長がエサをやっていたイノシシに間違いないと確信した山本教授は窪田教授と、十分にイノシシ対策をしてこなかったと思われる神戸大学に損害賠償を求めるべく立ち上がったのでした。

この模擬裁判の審理は二つ。神戸大学を相手取っての審理は被告の神戸大学が周囲に柵をめぐらすなどしていることから被告有利に展開。一方、イノシシにエサをやっていたとされる窪田教授については「イノシシのことをサカボーと名付けて出張の時は同僚にエサやりを頼んでいた」「最近はサカボーに乗れると自慢していた」と不利な証言が続々。さらには当日の事件を目撃した証人から「目の前を赤いリボンをつけたイノシシが山本教授に向けて突進した」「振り返ると窪田教授が座り込んで、『ふだんはうまくいくのに』とぼやいていた」「窪田教授がイノシシに乗りそこなって事件は起きたのではないか」と具体証言しました。

窮地に陥った窪田教授は被告本人への尋問で立て板に水の大反論。「私がエサをやったのは事実だが、サカボーに乗ったことはない。冗談を真に受けただけです」「そもそもサカボーは山本教授と反対方向に去っていった」と怒涛の名演技。これを原告の山本教授は「荒唐無稽な弁明」と切って捨て、満員の傍聴席は笑いの渦となりました。

「判決」はありませんでしたが、証人の信用性を認めるコメントが裁判官たちから次々と。最後に裁判長役の奥田先生から「窪田先生を (名演技のままの方と) 思い間違えないように」と説示があり、大爆笑のうちに公開模擬裁判は閉幕となりました。

この日の模擬裁判では司会が法律用語を説明したり、審理のポイントを解説して分かりやすい審理に。模擬法廷の傍聴席 (80人) が早々満席となり、控え室で同時中継に見入る人も多数いました。

なお今回の模擬裁判においては、裁判官役の先生方のコメントの前に、傍聴者の方々に原告・被告のどちらが勝訴したと思うかアンケートにお答えいただきました。集まった92枚のアンケートの集計結果は以下の通りです。

  1. 神戸大学に対する請求について (※イノシシ対策を怠ったことを理由とする、国家賠償法2条1項に基づく損害賠償請求)
    • 原告 (山本先生) の勝ち 15票
    • 被告 (神戸大学) の勝ち 77票
  2. 窪田先生に対する請求について (※イノシシへの餌やりその他を理由とする、民法709条・718条1項に基づく損害賠償請求)
    • 原告 (山本先生) の勝ち 61票
    • 被告 (窪田先生) の勝ち 31票

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(広報室)