神戸大学

教育のグローバル化めぐり活発な議論 ~神戸オックスフォード日本学プログラム・キックオフシンポジウム~

2012年11月09日

オックスフォード大学東洋学部日本語学科2年生全員を神戸大学文学部に1年間にわたって受け入れる「神戸オックスフォード日本学プログラム」のキックオフシンポジウムが7日、神戸大学瀧川記念学術交流会館で満席のなか開かれました。「教育のグローバル化―新たな次元を求めて」をテーマに講演や全体討論が行われました。オックスフォード大学の学習方法とその教育システム、国際化ぶりが紹介され、日本への導入をめぐって活発な議論が展開されました。

記念講演では神戸大学文学部卒業生で文化勲章受章者の脇田晴子・石川県立歴史博物館長がオックスフォードに学んだ思い出を語りました。

シンポジウム講演ではオックスフォード大学東洋学部長、ビャーケ・フレレスビッグ先生からオックスフォードが日本研究における英国内の拠点であり、国際的な拠点になっている現状や、日本語学科が5倍近くの競争率になっている現状を説明されました。そのうえで「オックスフォード教育の本質はチュートリアル。教員が週に1、2回、1時間ずつ1~4人の学生に課題図書を読ませてエッセーを書かせる。これによってインディペンデント・クリティカル・シンキングを身につけるのがオックスフォード教育だ」と話しました。

これを受けて、オックスフォード大学教授、苅谷剛彦先生は「オックスフォード生はフルタイムの学生。学期内で1日8時間、学期外でも1日6時間の勉強をしている。アルバイトをする暇はありません。チュートリアルという学習法はオックスフォードを象徴している。知識そのものを問わない。読み込んだ学識を駆使して自分の論理を組み立てる訓練をする。そのうえで行われる試験では『どんなときに、市民は法に従わないべきなのか?』という設問が出たりします。付和雷同しない人間を育てるという思想がそこにはあります」と話しました。そしてオックスフォードが「ワールドクラスの大学」と言われる意味について「世界中の難問に何とか知的解答を出そうという場」と説明しました。

人文学研究科の若手教員の討論では、3人の教員がそれぞれの専門の立場からヨーロッパと日本の大学のあり方の違いについて話し全体討論の後、質疑応答では日本の大学改革について問われた苅谷先生から「日本の大学はスクラップ・アンド・ビルドが苦手だがどこかでやらないとグローバル人材は育てられない」との指摘もありました。

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(広報室)