神戸大学

第3回神戸大学ブリュッセルオフィスシンポジウムを開催しました

2012年12月10日

神戸大学は12月6日、ベルギー・ブリュッセルで神戸大学ブリュッセルオフィス第3回シンポジウム「グリーンイノベーション&ライフイノベーション~日欧協力による成長社会の実現 (Green Innovation and Health Innovation-for a sustainable growth and society by Japan-EU collaboration)」を開催しました。4つの研究セッションで本学と欧州の研究者が最先端の研究を発表、約100人の参加者と討論しました。

神戸大学はこれまで欧州の大学・研究機関との連携を強化してきました。現在、神戸大学と海外との共同研究のうち約40パーセントが欧州との連携になっています。2005年、欧州委員会からの資金援助を受け、神戸大学、関西学院大学、大阪大学の3大学がEUインスティテュート関西 (EUIJ関西) を設置したのが皮切りです。幹事校の神戸大学はEUに関するさまざまなプログラム、イベントを展開してEUへの一般の関心を向上させました。さらなる連携強化を目指して神戸大学は2010年、日本の大学として初めてEUの首都ベルギー・ブリュッセルにオフィスを設置。今回を含めてシンポジウムを3回、ルーヴァン・カトリック大学など4大学との講義・セミナーを6回、ワークショップを14回開催して学術・学生交流に努めてきました。このような実績が評価されてヘルマン・ヴァンロンプイ欧州理事会議長 (EU大統領) やジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ欧州委員会委員長をはじめとするEUの著名人が多数本学を訪れています。

今回のシンポジウムのオープニングにおいて福田秀樹学長は、本学の欧州戦略に触れつつ、シンポジウムの開催で日欧の学術交流を一層強化する意思を伝えました。続いて、塩尻孝二郎欧州連合日本政府代表部特命全権大使、シリ・サラゴッシ欧州連合研究イノベーション総局国際連携部長は、日欧政府による科学技術連携の合意や経済連携の交渉が開始した今、日欧連携の重要さを改めて認識するとともに今後の発展に期待を示しました。

第1セッションでは、本学が欧州の大学等と共通課題として取り組んでいる臨床診断における被曝低減をテーマに、神戸大学、ハイデルベルク大学、ブレーメン予防・社会医学研究所の研究者が、日本とドイツの臨床診断における現状と課題を発表し、セッションを聴講したベルギーの研究者及び関係者たちと活発な質疑応答がなされました。

第2セッションでは、本学が欧州社会経済評議会と長年にわたって取り組んでいる高齢化問題をテーマに労働市場の変化や社会保障政策を概観し、非正規雇用の増加、若年者の長期失業等という新たな課題が起きている現状について、今後、高齢化のもたらす経済的な利点や新たなニーズを積極的に捉え、若年者に活力を与える必要があることが確認されました。

第3セッションでは、持続可能な社会の構築を目指したバイオプロダクションをテーマとし、神戸大学、そしてベルギーを代表するゲント大学、ルーヴァン・カトリック大学、ブリュッセル自由大学、モンス大学の研究者が出席し、福田学長による神戸大学の次世代バイオプロダクション農工連携拠点の紹介に始まり、ベルギーを中心とした EU全体のバイオプロダクション研究プロジェクト、及び教育研究に関する発表が数多くなされました。これらの発表を通してお互いに協力、連携していく点が数多く見いだされ、今後の具体的な交流の道筋が見られました。

第4セッションでは、ヘルス・イノベーションをテーマに、日本とスウェーデン、ベルギーにおける認知症の予防や高次脳機能障害患者、身体活動力が低下した高齢者に対する工学技術を活用した支援が紹介され、聴講者からも多くの質問が寄せられました。

シンポジウム終了後も研究者間の議論は続き、今後の協力についても検討がなされました。

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(国際部国際企画課)