神戸大学

関西から産業競争力を強化していくためには何が必要か —京大、阪大、神戸大トップが参加して関西活性化シンポ—

2014年08月08日

「関西が世界を変える」「関西から世界を変えよう」を合い言葉に、8月8日午後2時半から大阪市北区のグランフロント大阪ナレッジキャピタルのコングレコンベンションセンターで関西活性化シンポジウム (池田泉州ホールディングス、池田泉州銀行主催) が開かれました。関西を代表する京大、阪大、神戸大の3大学と企業、研究機関代表が集まって学術的な視点、産業的な視点を融合させて関西から産業競争力を強化していくために何が必要か意見交換するのがシンポジウム開催の狙いです。

シンポジウムでは理化学研究所計算科学研究機構の平尾公彦機構長が「スーパーコンピューターが未来を拓く」と題して基調講演。「京コンピュータが稼働して2年。心臓血流のシミュレーション、IT創薬、リチウム電池の性能改善策などさまざまな成果が出ています。これからのスパコンは安全安心な社会を実現する基盤技術でもあります。世界最先端のスパコンを使って、世界をギクリとさせる成果を神戸から発信したいと考えます」と話して大きな拍手を浴びました。

パネルディスカッションでは松本紘京都大学総長が「世界を変えるというのは自分自身が世界の見方を変えることに他ならない。科学の題材が未科学の分野にはいっぱいある。一見、非常識にみえることにチャレンジする、殻を破る人づくりを進めたい。枝葉ではなく、幹をおさえた育人 (教育) をしていきます」と話しました。

次いで平野俊夫大阪大学総長が「世界の多様性は豊かな暮らしや人類の発展には不可欠ですが、一方で障壁となって戦争を引き起こすこともあります。スポーツや芸術と並んで『学問』は人類共通言語で、多様性が起こす障壁を乗り越える大きな力になります。グローバル社会での大学の役割は『学問による調和ある多様性の創造』です。大阪大学は世界適塾大学院を設けて、大学としての役割を果たします」と話しました。

福田秀樹神戸大学長は「神戸大学はイノベーションを創出する大学を目指しています。イノベーションの研究科を設けて、最先端のバイオ、膜工学、IT、統合創薬など世界トップレベルの研究を進めるとともに、自然科学系分野と社会科学系分野を融合したカリキュラムを展開して、イノベーションを担う人材を育てていきます。生産技術の開発から市場開拓までのプロセスをデザインできる人材の育成を考えています」と話しました。

井上礼之ダイキン工業取締役会長は「3大学のお話に共通するのが新しいものを生み出し、自ら変わろうとする危機意識。民間も強い危機意識をもっています。新たな挑戦をし続けることが企業が勝ち残るための唯一の方策です。ダイキン工業は自前意識にこだわらずオープンイノベーションを進めています。迅速な経営判断、外部の力を活用する提携・連携がグローバル経営の要諦です。過去の成功体験は通じません」と話しました。

鳥井信吾サントリーホールディングス代表取締役副社長は「ビールについてドイツではホップの花園に迷い込んだようという豊かな表現があって、そのようなビールを作りたいと考えてきた。ワインでも日本の風土に合ったぶどう栽培法を考える社員もいる。日本人の特性を生かして『ものと対峙する』ことで新たな商品・産業を興し、世界を変えていくことではないでしょうか」と話しました。

(広報室)