神戸大学

神戸大学の多様性アピール 参加型イベントが好評 〜第3回シンポジウム「神戸大学のミリョク」開催〜

2014年09月07日

第3回シンポジウム「神戸大学のミリョク」が9月7日(日)午後、東京・お台場の日本科学未来館で開かれました。今回は講演をこれまでの2題から3題に増やし、別会場の展示を実演や参加型のイベントに転換。11学部14研究科と経済経営研究所の研究成果や教員の著書を展示して神戸大学の多様性を強くアピール。130人の参加者が講演後に熱心に質問。農場直送のブドウやナシを味わいました。

午後1時、未来館ホールで司会の人間発達環境学研究科博士課程前期課程2年、堤あゆみさんがフルートを演奏してシンポジウム開幕。工学研究科電気電子工学専攻の院生、土田修平さん、今井淳南さんの2人が六甲山系と瀬戸内海に囲まれた神戸大学の素晴らしい環境と自分たちの研究を紹介して「神戸大学のミリョク」をプレゼン。福田秀樹学長が「神戸大学には今日一日で伝えきれないミリョクがいっぱいあります。ぜひ神戸に来て実感してください」と熱く語りかけました。

講演のトップは保健学研究科の伊藤光宏教授。演題は「遺伝情報の解読の仕組みと病気」でした。キーワードは遺伝情報の解読を担う分子「転写因子」。具体的に、白血病と肥満の二つで転写因子がどのような役割を果たしているか説明しました。伊藤教授が転写の活性化する手順、活性化にあたって重要な「つなぐ」役割を果たす転写共役因子「メディエーター」を説明するあたりから会場は静まりかえりました。白血病説明の最後に、この仕組みを利用して最も治しにくい急性前骨髄球性白血病患者にレチノイン酸 (高濃度のビタミンA) を与えると長期生存率が30パーセント台から80パーセント台に大幅改善すると解説しました。会場からは「同じような方法でがんを治療する例はあるのか」など質問が相次ぎました。

講演の2番手は人文学研究科文化構造専攻の樋口大祐准教授。テーマは「『世界』を映し出す海港都市」でした。神戸の街のイメージを映画やテレビドラマから取り上げ、「エキゾチックな街」というイメージが作られてきたと説明。その上で、神戸の名所になっている南京町、関帝廟、孫文記念館やベトナム、インド系の移民、白系ロシア人、ドイツ人やユダヤ人コミュニティ、在日韓国人など多彩な民族構成が世界を映し出していると説明しました。「神戸では先に来た移民が新しくやってきた別の移民コミュニティを支援する伝統がある」として「神戸は日常生活の中に『世界』を映し出している街です」と締めくくりました。会場からは「神戸大学の国際化、留学生との交流はどうしているか」という質問が飛び、樋口准教授は「オックスフォード大学の日本語専攻の2年生12人全員が毎年文学部に留学する交流もある」と実例を挙げて答えました。

最後の登壇は工学研究科応用化学専攻の松山秀人教授。先端膜工学センター長も務めています。演題は「地球規模の環境問題の解決に貢献する膜技術」でした。松山教授は人口爆発で従来の水処理技術では対応しきれないことに触れ、水処理膜が21世紀の命運を握る技術と強調。2050年までに現状と比べて60~80パーセントの二酸化炭素排出量削減の閣議決定目標を達成するには膜によるCO2分離が必要不可欠と話しました。海水淡水化プラント、再生水プロジェクト、化学工業や発電所などさまざまな工業施設でCO2を分離回収する「膜」が注目され、神戸大学に2007年、先端膜工学センターを設立。松山教授は「基礎研究から積み上げ、生体機能を模倣して現在の膜より100倍以上水をよく通す革新膜の開発に成功しました。膜を勉強するならぜひ神戸大学に来てください」と熱を込めました。会場からは「福島原発のような放射能汚染水の浄化も可能なのか」と質問。松山教授は「セシウムを分離する研究に取り組んでいるところです」と答えました。

続いて会場を移して参加型のイベントを開催。第2会場には世界最小の気象レーダーや人工心臓ポンプなど神戸大学の研究成果や、教員が最近出版した著作30冊をずらり展示。中高校生や保護者たちは、附属食資源教育研究センターで育ったブドウ「藤稔」やナシ「幸水」「豊水」を味わいながらクイズ大会に参加。「NHKの朝ドラと神戸大学の関係」など4つの質問に紅白のうちわを使って回答しました。正解者はブドウ、ナシ、バレイショ、胚芽米などの賞品をもらって喜んでいました。

第3会場には相談コーナーや情報コーナーを設置。入試課職員や理事、研究科長が中高校生や保護者の質問に丁寧に応えました。

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(広報室)