神戸大学

「失われた街 模型復元プロジェクト展」始まる

2014年09月09日

東日本大震災で壊滅した街を模型で再現して被災地の人びとにふるさとの記憶を蘇らせた「失われた街 模型復元プロジェクト展」(展覧会実行委員会、人と防災未来センター、神戸大学共催)が神戸市中央区脇浜海岸通の人と防災未来センター西館1階ロビーで9月9日(金)から13日間の日程で始まりました。

2011年の東日本大震災発生時に神戸大学工学研究科建築学専攻の槻橋修准教授が、「被災地から遠く離れた私たちでも被災地にできることはないか」と知恵を絞り、全国の建築を学ぶ学生に呼びかけて協力を求め、模型復元を進めてきました。全国23大学の学生たちが航空写真を元に発泡スチロールで500分の1の町並みを模型復元。これを現地に持ち込んで被災地住民が参加するワークショップを開催。住民たちに模型の家々の屋根に色を塗ってもらい、長年の記憶を薄いプラスチックの旗にメモしてもらってそれぞれの場所に立てました。青色の旗には建物や店の名前、赤色は津波の到達点や逃げのびた場所、黄色は思い出、紫色は祭りなどの伝統、緑色は桜の木などの環境を表しています。

今回の展覧会には最大20㍍の津波が押し寄せた宮城県南三陸町志津川地区(3m×4m)、港町・気仙沼の顔だった気仙沼市内湾地区(2m×1m)、松林「高田の松原」で有名だった岩手県陸前高田市(4m×5m)の模型を展示しています。記憶の旗は数千本。志津川地区模型の外科病院には「津波の時、老人クラブの芸能大会があった」との旗が立ち、陸前高田市の模型では山の上に「ここで助かった」との旗が立てられるなど、住民たちの「記憶」が一杯詰まった模型展になっています。

14日(日)15時からは同センター西館1階ガイダンスルームで槻橋准教授、久野紀光名古屋市立大学准教授、福屋粧子東北工業大学講師の3人が記念トーク「まちの記憶と再生」を行います。コメンテーターは室崎益輝神戸大学名誉教授です。参加無料。

(広報室)