神戸大学

第34回 神戸大学留学生センターコロッキアムを開催しました

2015年02月05日

神戸大学留学生センターは、2015年1月30日、神戸大学百年記念館において、第34回コロッキアム「多文化共修の学びをデザインする」を開催しました。

西尾茂留学生センター長の開会挨拶に続き、第1部では、異文化コミュニケーション、国際教育に関する研究に造詣の深い堀江未来氏(立命館大学国際教育推進機構准教授)による基調講演「多文化共修を促すコミュニティ形成と授業運営」がおこなわれました。堀江氏は、多文化共修の理念を、キャンパスの国際化の進展(Internationalization at Home)、グローバル人材育成、及び留学生教育の3つの視点から整理した上で、多文化共修の学びを設計する際に鍵となる理論的枠組みを紹介しました。更に、多文化間接触の教育効果を高める上で重要な観点を指摘した上で、多文化間の学びを促進するためには、多文化共修科目を授業として提供するだけでなく、多様な学生が共に学ぶ場、コミュニティを形成していくことが重要であると述べました。

堀江氏の基調講演に続き、神戸大学における多文化共修の取り組みとして、2つの実践報告がなされました。まず、河合成雄留学生センター教授・黒田千晴留学生センター准教授が「神戸大学国際学生交流シンポジウム20年の歩み」と題した報告を行いました。本実践報告では、20年の歴史を持つ国際学生交流シンポジウムが、キャンパスの国際化や国際教育の進展に果たした役割や意義を踏まえたうえで、国際教育プログラム及び学生の学びをいかに評価していくのか、今後の課題が提示されました。続いて、高梨信乃留学生センター教授が「日本語サポーターとしての活動を通じた学び」と題した実践報告を行い、留学生センターが実施している日本語授業や夏期日本語日本文化研修プログラムにサポーターとして参加した学生達が、サポーター活動を通して得た気づきや学びの成果を紹介しました。

続く第2部では、東京外国語大学留学生日本語教育センター教授の宮城徹氏と島崎俊介氏が、「IJ共学を見すえたePortfolioの活用について」と題した実践報告を行いました。東京外国語大学留学生日本語教育センターにおける先進的なePortfolioの活用事例が紹介され、更にePortfolioを多文化共修授業にいかに活用していくか、具体的な提案がなされました。続いて、古川智樹氏(関西大学留学生別科特任常勤講師)が、「外国人留学生のソーシャルメディア利用におけるコミュニティ形成過程」と題した報告を行い、留学生のコミュニティ形成過程において、SNSがどのような役割を果たしているのか、調査結果をもとに実証的に検証したうえで、SNSの多文化共修科目への応用について提言を行いました。

グローバリゼーションの進展とともに多文化的な状態が急速に進む現代社会において、異なる文化的背景を持つ人々と協働することが出来る人材を育成することが、今後益々重要になってくると考えられます。本コロッキアムでは、多元的な視点や異文化間リテラシー、コミュニケーション能力を涵養する一つの手段として注目されている「多文化共修」に焦点を当て、多文化共修の学びをいかにデザインしていくのか、登壇者と共に国内外からの約50名の参加者とともに討議しました。本コロッキアムを通して得られた知見をふまえ、留学生センターでは、今後もキャンパスの国際化、国際教育の進展に寄与する活動を行っていきたいと思います。

(留学生センター)