全学共通教育

教養教育の目標

神戸大学は、「学理と実際の調和」という開学以来の教育方針の下、教育憲章に示された「人間性」「創造性」「国際性」「専門性」を高める教育を実施するとともに、各学部がグローバル化に対応した様々な教育プログラムを開発してきた。このようなプログラムに参加する学生だけではなく、全ての学生を、自ら地球的課題を発見しその解決にリーダーシップを発揮できる人材へと育成することが学士課程の課題である。
  そこで、全学部学生を対象とする教養教育において、神戸大学の学生が卒業時に身につけるべき共通の能力を「神戸スタンダード」として明示し、その修得を教育目標とする。

神戸スタンダード

    • 複眼的に思考する能力
       専門分野以外の学問分野について基本的なものの考え方を学ぶことを通して複眼的なものの見方を身につける

    • 多様性と地球的課題を理解する能力
       多様な文化、思想、価値観を受容するとともに、地球的課題を理解する能力を身につける

    • 協働して実践する能力
       専門性や価値観を異にする人々と協働して課題解決にあたるチームワーク力と、困難を乗り越え目標を追求し続ける力を身につける

全学共通授業科目

神戸大学の教育課程のうち、教養教育に相当するものは、全学共通授業科目として国際教養教育院が開講している。各学部が開講する専門科目と並行して、1~3年次に履修する。

  1. 全学共通授業科目の区分
    • 基礎教養科目
    • 総合教養科目
    • 外国語科目
    • 情報科目
    • 健康・スポーツ科学
    • 共通専門基礎科目
    • 資格免許のための科目
    • その他必要と認める科目
  2. 全学共通授業科目の実施

    全学共通授業科目を担当する教員により、科目ごとに組織された21の「教育部会」が実施する。

    • 情報科学
    • 健康・スポーツ科学
    • 人間形成と思想
    • 文学と芸術
    • 歴史と文化
    • 人間と社会
    • 法と政治
    • 経済と社会
    • 数学
    • 物理学
    • 化学
    • 生物学
    • 地球惑星科学
    • 図形科学
    • 応用科学技術
    • 医学
    • 農学
    • ESD
    • 学際
    • 外国語第 I (英語)
    • 外国語第 II (ドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語、韓国語、スペイン語、イタリア語)

全学共通授業科目の学修目標

各授業科目の内容は神戸大学シラバス (学外公開用)をご参照ください。

基礎教養科目

基礎教養科目は、人文系、社会科学系、生命科学系、自然科学系の4つの分野の科目より開講している科目から、自分が所属する専門分野以外の主要な学問分野について基本的な知識及び「ものの見方」を学び、理解することを目的とし、以下の区分毎に学修目標を定める。

○人文系

人文系としては「哲学」、「論理学」、「倫理学」、「心理学」、「教育学」を開講する。「哲学」は人間の知的営みの蓄積であり、受講者には自身の専門領域がいかに古代から現代にいたる思想に依拠しているかを理解することが求められる。「論理学」は、あらゆる分野で必要とされる推論、論証の基礎に関わる学問であり、受講者には自身の専門分野でも活用可能な論理的思考能力を身につけることが求められる。「倫理学」では、実社会でも通用する高い倫理観を身につけることが求められる。「心理学」は心のはたらきに関する実証的な研究を行うとともに、心の発達を明らかにし、さまざまな発達段階での心の問題の解決を支援する分野である。「心理学」の受講者には、人間の心のはたらきについてその応用可能性を含めた理解をすることが求められる。「教育学」では、知性・技能・情意等の授受という営みについての基本的理解と、教育行為が現代においてはたす意義について理解することが求められる。

○社会科学系

自己の属する様々なレベルの〈社会〉に対する、科学的かつ複眼的思考と理解とを養うことを目的として、「法学」、「政治学」、「経済学」、「社会学」、「地理学」を開講する。「法学」では複雑化する現代社会において主体的市民として生きるための法学の知識・方法・理論を学ぶ。「政治学」では能動的な政治的主体に求められる、政治を知りそれを生きる知識・理論・方法を学ぶ。「経済学」では、ミクロ・マクロの様々な経済問題を理解するのに必要な基本的概念や分析枠組の習得を目指す。「社会学」では、領域横断的かつ相対的な社会学のものの見方とその有用性を示す。「地理学」においては、その基本概念や発展動向を踏まえ、その実証的・理論的両側面を学ぶ。

○生命科学系

全ての生物にとってかけがえのない〈命〉は、今日の進歩した生命科学技術の下、そのメカニズムが新たに解明される一方で、病気などはまだ不明な部分も多い。本分野では、生命に対する複眼的思考を養うことを目的として、人類を初め地球環境に暮らす多様な生命体の仕組みと、我々が生きていく上で必要な健康管理まで、基礎から臨床医学までを学ぶ。「生物学」では、生物の多様性、遺伝子、細胞の構造から機能まで、生物に関する基本的な知識や考え方を学ぶ。「医学」では、主要な病気の早期発見や早期治療ができるように、医学に関する基本的な知識や考え方を学ぶ。「保健学」では、感染症の予防など、体調を管理して病気を防ぐことができるように、保健学に関する基本的な知識や考え方を学ぶ。「健康科学」では、健康な生活を過ごすために必要な生活習慣を身につけることができるように、健康科学に関する基本的な知識や考え方を学ぶ。

○自然科学系

高度に科学技術の発達した現代社会に対応する複眼的思考を養うことを目的として、本分野では、我々を取り巻く自然現象や社会現象が我々にどのように関わりを持つかについて、自然科学の観点と切り口から学ぶ。「数学」では、数理的思考における基本的な知識や考え方を学ぶ。「物理学」では、19世紀までに確立された古典物理学、あるいは、20世紀に構築された現代物理学の基本的な知識や考え方を学ぶ。「化学」では、分子にまつわる微視的な内容に関して、あるいは、物質の性質など化学の基本的な知識や考え方を学ぶ。「惑星学」では、惑星および諸天体、宇宙における地球、あるいは、惑星の姿や変動現象について、惑星学の基本的な知識や考え方を学ぶ。「情報学」では、コンピュータやスマートフォンなど、これらの身近な機器に利用されている情報技術の歴史や仕組み、最近の活用事例を知り、基礎知識を学ぶ。

総合教養科目

総合教養科目は、多文化に対する理解を深め、多分野にまたがる課題を考え、対話型の講義を取り入れるなどの工夫により、複眼的なものの見方、課題発見力を養成することを目的とし、以下の区分毎に学修目標を定める。

○多文化理解

グローバル化の進展に伴い、現代では異文化間の交流が一層深化し、同時に、異文化に対する理解不足が深刻な不和を招来しかねない状況が現出している。
この科目群では、こうした現代世界の状況を的確に把握するとともに、多文化共生のあり方を模索するのに必要な知識を獲得し、思考力を養成することを目標とする。
より具体的には、多様な時代と地域の、歴史、社会構造、伝統、宗教、芸術を扱い、これらを通じて異文化に関する知識を獲得するとともに、比較文化的観点から分析することにより、異文化との共生につながる多元的な思考力を養う。

○自然界の成り立ち

私達を取り巻く自然界には様々な現象が存在し、日々変化している。これら自然界の様々な事象を、私達は体験を通して、関わりを持ちつつ理解している。しかし、多くが未解明であり、今後の研究の進展に負う面も大きい。従って、自然界の様々な事象を理解し解明していくためには、私達が自然愛を持って能動的に対応し、自然界を良く理解することが重要である。
この科目群では、私達の身近な現象として触れることの多い事象、例えば、科学技術と倫理の問題、現代物理学が描く世界像や身近な物理法則、自然界に見られるカタチにまつわる諸問題、ものづくりと科学技術における工学的な技術や将来展望、生命科学として身体の構造と機能の関係、生物資源と農業の今日までの関わりとその特徴、さらには昆虫や微生物との相関、などを取り上げ、私達の日常の問題として理解し、生活の中に取り込んで修得することを目標とする。

○グローバルイシュー

社会のグローバル化にともない、わたしたちは、国や地域の境界を越えて地球規模での解決が必要なさまざまな課題に直面している。この科目群では、これらの課題について理解を深め、その解決に指導的役割を果たす人材となるための基礎能力を身につけることを目標とする。
環境問題は、いうまでもなく地球規模の問題であり、自然科学と人文・社会科学の双方から幅広く接近する必要がある。また、人権、ジェンダー、政治や法制度、経済、ビジネスなど、わたしたちの生活に直結する問題領域も、いまや一国だけでは対処することが困難であり、地球規模の視点から取り組んでいくことが求められている。さらに、エネルギー資源・エネルギー技術や発電技術、都市安全技術などの科学技術の応用の考え方や社会における応用の実例についても、地球規模の視点から捉えることで最先端の技術動向を把握することが可能となる。

○ESD

この科目群では、〈地球〉を枠組みとした新しい教育運動であるESD(持続可能な開発のための教育)の本質と方法的な特徴を理解し、経済・社会システムの変更や人間のライフスタイルの変化を引き起こすために、われわれが、何を考え、何を変えなければいけないのかを考究する。個人主義的な教育観から小集団・構築主義的な教育観への変更、単一専門性幻想から共同的専門性へのパラダイムの転換など、これまでの常識をくつがえすための方法論を探究してゆく。学生・教員・学外者が、社会的活動やフィールドワークでの協働作業を通して、実践現場にふれながら、新しい動きとしてのESDに〈タッチ〉することが目標である。

○キャリア科目

現在、大学生には就職活動を始めるときに初めてキャリアについて考えるのではなく、入学時から卒業後・修了後のキャリアについて考え、深めていくことが求められている。この科目群では、実社会でのボランティアを通じて、あるいは実社会で活躍するOB/OG等社会人の講演を通じて、自己のキャリアに関して、またキャリアとは何かという問いそのものに関して考え、深めていくきっかけを掴み、将来に向けて備える能力を高めることを目標とする。

神戸学

この科目群では、我々の神戸大学が立地する神戸市・兵庫県、瀬戸内海等の歴史と現状に関する理解を深める、あるいは神戸大学そのものに関する理解を深めることを通じて、これからの学生生活を過ごすことになるキャンパス、地域についての理解と関心を深め、学生生活をより有意義にするとともに地域社会と大学とのかかわりについて理解することを目標とする。

外国語科目

○外国語第I

グローバル社会の主要な共通言語(リンガ・フランカ)となっている英語について、その運用能力を向上させるとともに、国際コミュニケーションを成り立たせている諸要素への理解を深めることを目標とする。開設科目のうち、English CommunicationとEnglish Literacyでは、それぞれ、聞く力と話す力、読む力と書く力を中心として、英語力の総合的向上を目指す。Autonomous Englishでは、コンピュータを利用し、英語の基盤能力の拡充と、自律的学習態度の向上を目指す。Productive Englishでは、調査・発表活動の実践を通し、英語の発表能力の拡充と、問題発見能力および問題解決能力の向上を目指す。(これら必修科目の配当は学部により異なる。)また、Advanced Englishでは、各自のニーズに応じた各種の英語技能の向上を目指す。

○外国語第II

グローバル化があらゆる分野にまで浸透し、人びとを取り巻く多文化状況が日常化してきた今日、英語プラスもう一つの外国語の基礎的な学力と教養を身に付けることが必要である。そこでドイツ語・フランス語・中国語・ロシア語のうち、一つの語学を選択し、1年次では、発音・文法・語彙・文章表現などの初級レベルの基礎的修得を目指す。2年次では、より高度な文法事項の理解や読解力・表現力などの中級レベルの習得を目指す。3年次では、多様なトレーニングを通して、社会・文化背景などの知識を身につけながら、実践的な運用能力をさらに向上させることを目指す。

情報科目

コンピュータなどの情報機器とネットワークにおけるコミュニケーションが必須とされる高度情報化社会において、学生はコミュニケーション技術や情報処理、情報収集・発信技術など有効な情報機器の利用方法を学ばなければならない。また、変化の激しい情報化社会に対応するためにはコンピュータやネットワークに関する普遍的な基礎概念と実践的な知識を同時に理解しておく必要がある。情報科目はコンピュータの操作技術を取得し、情報とその取り扱いに関する正しい判断力を養い、それらを日常生活や社会活動に活用できる能力を身につけることを目指す。

健康・スポーツ科学

健康・スポーツ科学は、身体と健康・運動に関する学問を学際的な視野のもとで総合化した新しい総合人間科学である。健康・スポーツ科学では、講義と実習を通して、身体運動と人体の機能・能力との関わりについての知識、安全で効果的かつ効率のよい身体運動について、及び生涯にわたって健康で豊かな生活を送るための知識と実践能力を修得することを目標とする。

共通専門基礎科目

専門教育を受けるための準備や導入として、複数の学部に共通する基礎科目を開講している。各学部で行われる専門教育では、専門分野ごとそれぞれの性質に合わせた系統的そして累積的な知識と技術の修得が不可欠である。そこで、共通専門基礎科目では、専門科目を理解し修得するための基礎となる知識や技術を身につけ、基礎的な理論を理解し、学問的なものの見方を養うことを目標とする。