経済のグローバル化ないしボーダレス化に伴う会計基準の国際的調和化 (=アングロサクソン化) の動きや、 エンロン事件・カネボウ事件に代表される国内外における会計不正の頻出とこれに起因する会計不信の増大などが相まって、 近年、社会の基本的インフラストラクチャとしての会計 (特に企業会計) を取り巻く環境は大きく変貌し、「激動の時代」を迎えていると言っても過言ではない。 その中で、会計の構造的仕組みを形成する「簿記」 (bookkeeping)、とりわけ「複式簿記」 (double entry bookkeeping) に対する認識や理解も大きく変化してきているように思われる。
『複式簿記の構造と機能―過去・現在・未来―』と題された本書は、 2004年度~2005年度の2か年にわたり、日本会計研究学会に設置されたスタディ・グループの最終報告書を基礎とするものである。 そこには、「過去簿記」・「現在簿記」・「未来簿記」というキーワードのもとで、 「複式簿記」の基本構造と機能に関する歴史的考察、質問票調査を通じての現今の学界人による「複式簿記」に対する認識と理解、 さらに、XBRLに代表されるようなICT (Information & Communication Technology) の進展という流れの中での「複式簿記」の新たな展開の方向について、 10名の研究分担者による合計6章16節の論稿が収録されており、諸外国の研究と比べてのわが国の会計研究の大きな特色と考えられる「簿記研究」の将来への発展の礎石の一つとなれば幸いである。
