(令和元年5月23日 国立大学法人神戸大学教育研究評議会決定)

(令和3年3月18日 国立大学法人神戸大学教育研究評議会改正)

はじめに

神戸大学が世界の拠点大学としてさらなる発展を遂げるためには、本学の理念や使命に基づき、大学が継続的に、自ら教育研究活動等の点検及び評価を行い、その結果を改善につなげることにより、教育研究活動等の質を維持し向上を図る内部質保証に努めることが不可欠である。そのためには国際的にも通用する公正かつ合理的な内部質保証体制を構築する必要がある。そこで、神戸大学における内部質保証の基本的な考え方をここに表明し、大学内外の関係者に対して内部質保証への理解と協力、及び、大学内の関係者に対して内部質保証の機能の実現を求めるものである。この基本的な考え方において内部質保証とは、自らが行う諸活動の状況について、継続的に点検・評価し、質の保証を行い、絶えず改善・向上に努めることをいう。

内部質保証の理念

(理念・使命に基づいた内部質保証)

神戸大学は、人文・人間科学、社会科学、自然科学並びに生命・医学に及ぶ広範な教育研究活動等を通じて、知の創造、継承及び普及に社会的責任を負っている。内部質保証は、神戸大学が、この社会的責任を果たし、今後も国際的な知の拠点として発展していくために、常に真摯に自己を見つめ直し、良きところはさらに一層発展させ、改めるべき点は改善していくという自律的かつ継続的な自己改善に努める活動である。したがって、神戸大学における内部質保証は、本学の掲げる理念や使命に準拠して実施されるべきである。

(外部の視点を取り入れた内部質保証)

また、内部質保証は、知の創造、継承及び普及の主体である教員が責任を持って実施する自己点検・評価を基盤とすべきであるが、自己点検・評価の際には、大学という知的共同体の構成員である学生と職員の積極的関与が不可欠であるのみならず、自己点検・評価の客観性や妥当性を確保するためには外部の視点も必要である。

(証拠に基づいた内部質保証)

内部質保証は、国費、学生納付金、寄付金等を基盤として実施される教育研究活動等を対象として評価を行い、評価結果に基づく運営費交付金などの様々な資源配分等の活用を通じて、教育研究活動等の質の改善や向上を図る活動である。これらのことから、内部質保証は、データや資料など証拠に基づき実施し、結果のみならず、その過程についても透明性を確保すると同時に公正な仕組みでなければならない。

(合理的、効率的な内部質保証)

さらにまた、今後は、内部質保証は、その基盤となる自己点検・評価を実施するだけでなく、それを基礎として実施される国立大学法人評価委員会による評価や認証評価機関による評価など様々な外部組織による評価が実施されることから、多様な評価に整合的に対応するためにも合理的かつ効率的な仕組みでなければならない。

(自らも改善する内部質保証)

最後に神戸大学の内部質保証体制それ自体も、つねにその理念・使命・目的や環境の変化に照らして最適となるよう自己改善に努めなければならない。

内部質保証の目的

内部質保証の目的は、神戸大学、各部局等、各教職員が、本学の理念や目的・計画のもとで、それぞれの使命や目標の実現に向けて、自らがその到達点を確認し、さらなる飛躍に努めることにある。

内部質保証の単位

大学の中核事業である教育研究活動等は、部局等を単位として実施されている。したがって、神戸大学の内部質保証は、各部局等の内部質保証の集大成と考えることができる。また、各部局等での教育活動は、教育課程を単位として実施されていることから、各部局等の教育の内部質保証は、各教育課程のそれらの集大成と考えられる。他方、全学単位で実施されている教育研究活動等もある。したがって、内部質保証の目的、対象とする教育研究活動等の特性に応じて適切な活動単位の設定に留意しつつ、神戸大学を対象として実施される国立大学法人評価委員会による評価や認証評価機関による評価への対応を勘案して、それらの評価の基礎となる内部質保証も全学、部局等、教育課程を適切に組み合わせた単位で構成するものとする。

なお、各教員は、各部局等、各教育課程の内部質保証の基盤となる個人を単位とする点検・評価を行う。また、教員以外の職員の点検・評価についても、組織及び個人の単位で、それぞれの使命や役割に応じて、該当する部局等において実施するものとする。

内部質保証の体制

教育研究の質を保証し改善するのは、規則や制度ではなく、教育研究の主体である教員自身であることは論をまたない。また、大学の中核事業である教育研究活動等は、部局等を単位として実施されている(但し、全学単位で実施されている教育研究活動等は除く)。このため、まず、教員と教員集団である部局等が、自らの活動を真摯に点検・評価することが、神戸大学の内部質保証の出発点である。

その上で、部局等の長が責任をもって(大規模な部局にあっては、学科や専攻の長など)、対象とする教育研究活動等の特性に応じて、部局等、教育課程を単位とする内部質保証活動を行う。部局等の長による内部質保証を支援する組織として、各部局等に内部質保証を担当する組織を設置する。

次に、各部局等の長による内部質保証活動が、この基本的な考え方に表明されている理念と目的に適った妥当なものであるかどうかを、学長を長とする国立大学法人神戸大学教育研究評議会(以下「評議会」という。)が確認等を行う。

他方、全学単位で実施されている教育研究活動等は、全学の担当組織が内部質保証活動を行い、評議会が確認等を行う。

なお、各部局等の長、全学の担当組織による内部質保証活動のうち点検・評価については、神戸大学評価委員会が点検・評価を行い、評議会に報告を行う。

つまり、評議会を最終責任組織として、上位の階層は、直近下位の階層における内部質保証の手続き・過程・結果等がここに表明している基本的な考え方に沿った適正なものであるかについて確認等を行う体制とする。

なお、評価室は、評議会や各部局等の長、全学の担当組織と連携し、本学における内部質保証の円滑なる実施に寄与する。

内部質保証の分野

内部質保証は、教育、研究及び社会貢献を中心として、本学の理念や使命、外部組織による評価を考慮した分野やテーマを設定し、総合的に実施する。

内部質保証の観点

神戸大学における教育研究活動等の規模の大きさと多様性を勘案すれば、内部質保証の観点や要素を全学的に統一することは不可能であるばかりでなく、かえって各教員や各部局等の創造的で独自な取組を萎縮させ、教育研究活動等の活力を低下させるおそれがある。したがって、別に定める内部質保証に関する規則などでは、内部質保証の分野、観点、要素等について大綱的に定めるにとどめる。

ただし、理念の項に表明しているように、神戸大学における内部質保証は、神戸大学の掲げる理念や使命が準拠枠となることから、大学の内部質保証においては、各部局等が神戸大学の理念の実現や使命の達成にいかに貢献しているかを基本的な観点とする。同様に、各部局等の内部質保証においては、各教育課程が部局等の理念の実現や使命の達成にいかに貢献しているかを基本的な観点とする。

また、教育、研究及び社会貢献等の内部質保証の分野ごとの特性に十分に配慮することとする。

なお、神戸大学の内部質保証の目的が、教育研究活動等の質の向上であることから、大学、各部局等、各教育課程の内部質保証に関する報告には、改善方策についての言及を必ず含むこととする。

 

内部質保証の周期

大学及び各部局等での内部質保証は、国立大学法人評価委員会による評価や認証評価機関による評価の時期を考慮し、大学は3年から6年、各部局等は適切な周期で実施するのが妥当である。ただし、教育研究活動等の質の改善や向上は一朝一夕に実現できるものではないことから、計画的に実施することとする。

内部質保証に関する情報の公表

神戸大学における内部質保証に関する情報は、その性質上開示に適さないものを除き、原則として大学内外に公表することとする。