第14回経営協議会議事要録

日時
平成20年1月24日 (木)  12:30~16:00
場所
神戸大学大学院国際協力研究科 大会議室
出席者
野上議長 (学長)、堀尾委員、土井委員、 薄井委員、太田委員、 中野委員、安藤委員、太田和委員、鈴木委員、天野委員、佐藤委員、 谷井委員、新野委員、はま委員、平野委員
(オブザーバー) 赤塚監事、枡田監事
欠席者
井戸委員、河内委員、水越委員、矢田委員
議事要録について
第13回経営協議会の議事要録について、特段の意見はなく、役員会として確認の上、神戸大学のホームページに公表する旨説明があった。
協議事項
[委員からの主な意見等 (○: 意見・質問、→: 回答)]
1. 国立大学法人神戸大学の中期目標についての意見及び同中期目標を達成するための計画 (中期計画) の変更について

平成20年4月に保健学研究科の設置及び医学系研究科の名称変更並びに経済学部夜間主コースの廃止、 経済学研究科の専攻の改組及び博士課程前期課程の入学定員の増に伴い、 中期目標についての意見及び中期計画を変更する旨説明があり、審議の結果、 原案のとおり承認した。

○ 今回の研究科の充実に伴い、学生定員はどれぐらい増えるのか。

→ 博士課程の定員は増えていない。 修士課程の定員は、若干増えている。 なお、今後、既設の研究科の博士課程の定員について、 第二期中期目標計画期における運営費交付金の在り方を見据えながら、 充足率を踏まえた全体的な見直しを行う必要があると考えている。

○ 社会科学系の学部及び医学部は重点化の際に定員増になっているが、 定員を減らす時は予算も減らされるなど、 どういう措置になるのか。

→ 今までなかったことなので、 文部科学省と協議しなければならない。 就職先や定員の充足率の問題もあり、 社会科学系と医学系の博士課程の定員の見直しは、 行わざるを得ないと思っている。これまでは、教員の定員を減らされることなく、 博士課程の定員を減らす代わりに修士課程の定員を増やすという方法を採ってきた。 修士課程修了者の進路を確保できるかも含めて平成20年度には、 非常に厳しい検討をしなければならない状況にある。

特に大学院の定員の在り方については、現状の社会情勢、 卒業生の状況を見ながら、適切な対応をするように、 関係の部局長に十分周知を行い、更に慎重、かつ、 速やかな検討を行いたい。

2. 平成19年度給与改定について

本学は、給与改定については、 人事院勧告に原則準拠することとしており、 今回も国家公務員と同様に以下のとおり改定する旨説明があり、 審議の結果、原案のとおり承認した。

1) 俸給表について、初任給を中心に若年層に限定して改定し、一般職俸給表 (一) 4級以上については改定しない。

2) 扶養手当について、子等に係る手当を月額500円引き上げる。

3) 勤勉手当について、支給割合を年間0.05月分引き上げる。

4) 改正する規則

国立大学法人神戸大学職員給与規程

国立大学法人神戸大学船員就業規則

なお、非常勤職員については、法人化する際に定めたとおり、 年度途中で改定しない。ただし、非常勤職員に係る勤勉手当については、常勤職員の例に準じて改定する。

○ 給与改定について、 例えば神戸大学独自に改定せず節約して、 その経費をほかに転用することは可能か。

→ 各大学の判断で給与を決定できることとなっているので可能であるが、 本学では、平成17年に人事院勧告に原則準拠すると決定している。

なお、財政状況が非常に苦しくなり、 人事院勧告に準拠できない大学が幾つも出てきている。 本学もそういう状況になれば考えないといけない。

4. 平成20年度年度計画重点事項について

平成20年度の年度計画の重点事項について、 次のとおり説明があった。このうち、本日は、 特に「計算科学研究科 (仮称)」と「附属病院の経営」 について重点的に意見をいただくこととした。

  • (1) ビジョンの推進について
    「神戸大学ビジョン2015」の具体的な展開を図るため、「政策・実施項目」の優先度に従って実行するとともに、進捗管理を確実に行う。
  • (2) 次期中期目標・中期計画について
    「神戸大学ビジョン2015」を踏まえ、次期中期目標・中期計画の策定を開始する。
  • (3) 組織について
    • 1) 医学・薬学分野の新たな連合大学院の設置及び次世代スーパーコンピュータを活用した計算科学に関する新研究科の設置に向け、 検討を進める。
    • 2) 平成21年度にスタートする附属学校の再編に向けて、着実に準備を進める。
    • 3) 学内共同利用施設等が行った自己点検・評価を分析し、全学評価委員会においてメタ評価を実施する。また、その結果に基づき、施設等の存続の可否を決定する。
  • (4) 教育について
    • 1) FD の企画・実施について組織面を強化し、全学レベルでのピア・レビュー等の本格的な展開を開始する。
    • 2) 平成19年度に新たに立ち上げた教育担当責任者会議において、教員の教育力評価について検討する。
    • 3) GPA 制度の導入に向け、試行を開始する。
    • 4) 英語コース及びライティング・センターの具体化を図る。
  • (5) 学生生活について
    • 1) 快適な住環境を整えるとともに、国際交流の拠点となりうる学生寮の整備計画を検討する。
    • 2) 課外活動施設の全面的な見直しを行い、施設充実のための基本構想を策定する。
  • (6) キャリア支援について
    • 1) 大学院学生、ポスドクの就職状況について調査を行うとともに、キャリア支援及びキャリア教育を実施する。
    • 2) 留学生及び海外企業への就職に関心を持つ日本人学生のためのグローバルキャリアガイダンスを実施する。
  • (7) 研究について
    • 1) 神戸大学研究戦略を策定し、世界トップレベルに到達可能な研究を「神戸大学コア研究」と位置付け、グローバルCOEプログラム等と連動させつつ、卓越した成果の創出に向けて多面的支援を行う。
    • 2) 研究設備マスタープランに基づき、「研究設備更新カルテ」を作成して研究設備整備5カ年計画を策
  • (8) 国際交流について
    • 1) 事務職員の実務能力向上を図り、交流コーディネーターの内部登用及び部局へ連携支援員を配置する。
    • 2) 平成19年度末に海外拠点として北京に開設された中国事務所を通じ情報収集及び広報活動を推進する。
  • 9) 産学連携・地域連携について
    • 1) 連携創造本部の新体制により、広範な観点での連携を企画・推進する。特に先端研究分野でのイノベーション創出に努め、更にその核として知的財産の取得管理を効率的に進める。
    • 2) 2008年を「神戸大学環境年」と位置付け、環境に係わる活動を地域連携の柱とする。
  • (10) 附属病院について
    • 1) がん診療連携拠点病院として、腫瘍センターを中心に各診療科の連携強化を図る。
    • 2) 薬剤及び医療材料の管理を徹底するなどコスト削減を図り、病院経営の効率化を一層推進する。
  • (11) 人事制度改革について
    大学教員の65歳までの雇用確保の方策について検討し、原案を策定する。
  • (12) 施設・環境について
    • 1) 大学教育推進機構、人間発達環境学研究科、工学研究科、医学系研究科の各総合研究棟の改修 (13,150m2) を推進する。
    • 2) 生命・分子系の総合研究棟の新営 (6,500m2) を2カ年で推進する。
  • (13) 同窓生 (卒業生) との連携強化について
    既卒 (修了) 者情報のデータベース化を推進する。
  • (14) 基金について
    • 1) 教職員をはじめ、企業、卒業生、在校生保護者への募金活動を推進し、成果を上げる。
    • 2) 今後の基金展開のため、卒業生 (留学生を含む) のネットワークを強化し、大学との絆を一層強化する。
  • (15) 認証評価及び国立大学法人評価の実施について
    認証評価及び国立大学法人評価に向けて、各部局等が行った自己点検・評価を分析し、全学的な自己点検・評価を行う。

ア 計算科学研究科 (仮称) 設置構想について
 現時点での計算科学研究科 (仮称) 設置構想について、 1)全国の大学・研究機関との連携及び国際連携、 2)研究科設置の趣旨、3)新研究科における基本的な計算科学の考え方、 4)カリキュラムの理念、 5)専任教員の研究分野と教育担当について説明の後、意見交換を行った。

○ 新しい組織を立ち上げるに当たっては、人と経費の問題がある。 プロジェクト型で認められれば一定期間は文部科学省から予算措置されるが、 期間終了後は各大学で経費を負担することとなる。 大学の経費負担の有無が、重要な問題となってくる。 文部科学省は、新しい組織の設置についてどのような支援を考えているか。

→  新研究科の設置に当たっては、最低限の基盤経費の裏付けが必要となる。 本学の長期的なビジョンの中でどのように位置付けるのか。 学内での議論を重ねて進めていきたい。  

イ 病院経営について
 法人化後の課題と取組状況について、 1)経営改善係数△2%、当初6年間で財政投融資及び長期借入金を約200億円返済し、 その後の平成22年度から6年間は約120億円を返済することになっており、財政上の大きな問題があること、2)人材投資により病床の最大限の収容能力の有効利用を図り収入を上げなければならないこと、 3)耐用年数を超えた機器設備を約80億円抱えていること、 4)法人化後、二度の診療報酬改定による収入減の影響も大きいこと、 5)これまで、病院の規模に対して医師数が少ない中、着実に診療報酬を伸ばしてきたが、 経営改善係数のノルマを達成するためにはスタッフの増員とともに労働環境の改善が急務であったこと、 6)特定機能病院として患者サービスと医療の質の向上を目指すため、平成19年度から7対1看護体制を導入したこと、7)教育研究を受け持つ大学病院としては、全診療科を揃える必要があり、その状況で、人件費削減のため、医学系研究科医科学専攻及び同保健学専攻からの人的支援、また、兵庫県との連携による医師の派遣を受けていること。

この上で、経費については、平成19年度の当初計画と着地予想の差額が約8億円あること、 及び平成20年度収支予測について説明の後、意見交換を行った。

○ 周辺の病院で看護師や麻酔科医が不足するような問題があり、 神戸大学はやはり地域を全く無視した経営というのはよくないのではないか。

医療体制がこれほど壊れてきたら、これは一大学で対応できる問題ではなく、 全国的なレベルで何かやっていただくよう声を大きくする必要があるのではないかと思う。

○ 経営改善係数の2%削減は、5年間で終了し、 もう削減しないということか、また、 看護師の大量雇用に伴う退職金の引き当てはどうしているのか。

→ 経営改善係数の廃止は、強く要請し、国レベルで検討していると聞いているが、 結論は出ていない。継続される可能性はある。 仮に、継続されれば大変困難な状況となる。

なお、承継職員以外の者については退職金の引き当てを行っている。

○ 病院が赤字になった時に、 その赤字を国立大学法人が独自に補填するというのが本来の制度設計なのか。 法人全体で赤字を補填した場合、法人の本体の教育研究に支障を来すので、 附属病院の赤字は別枠で扱い、剰余金で補填することになるのか、 その方針を国立大学協会として決めていないのであれば、 方針を決定するように要求しないといけないのではないか。

→ 事実上、大学本体の方から、補填をした大学が複数ある。 ただ今の指摘の根本的な原則のところは既に崩されている。 また、去年の実績報告によると、7大学の病院が赤字決算となっており、 それ以外に、11大学が資金面を含めれば実質赤字である。

○ 大学本体から補填を行うという原則に触れるようなことは、 絶対行ってはならないのではないかと思うが、既に行っているのか。

→ 附属病院セグメントの費用を大学に振り替えることは会計上できないことから、大学全体として目的積立金を取り崩して損失を出さないことが肝要と考えている。

○ これは結局評価に関係し、赤字を出したら、 何とか表面を繕って悪い評価を得ないようにする、そういうことで競争させられているところがあると思う。

○ 中期計画期間が終わった時点で評価をどういう方法で行い、 それを運営費交付金の配分にどう結び付けるかといったことが、 現状では全く決まっていないと思う。

附属病院の問題を文部科学省がどこまで承知し、 財務省にはどこまで報告されているか、これは全くわからない。

早く全体像をつかんで、本体の大学が危うくなるということを、 政府当局や文部科学省にアピールしていく必要がある。

→ 全学の構成員に対して、本日多くの御示唆をいただいたことを基に、 非常に困難な状況に置かれていることを理解してもらうよう努力していきたいと思う。

ウ 目的積立金取崩について

目的積立金取崩計画について、次のとおり提案し意見交換の後、承認された。

目的積立金については、法人化後、平成16年度から平成17年度の2年間で約13億円、 平成18年度は約1億6,400万円あり、トータル約14億6,400万円が残っている。

この目的積立金については、大規模改修に3億5,000万円、 保育所改修に2億5,000万円の取り崩しを予定していたが、保育所改修のための取り崩しを保留することとした。

この上で、平成19年度決算は附属病院分の目的積立金4億4,800万円を全額取り崩し、 病院の運営改善に充てさせていただきたい。

現在、附属病院のトータル的な運営の仕組みについて抜本的な見直しを行っており、 2月からは経営コンサルタントを入れて検討し、改善できるところは実施したい。 しかし、大学附属病院としてのミッションを損なってはならないということを前提としながら、 検討を行っている。

○ 赤字が増えるとどういうことになるか。 例えば、文部科学省との関係はどうなるのか。

→ 大学は文部科学省から措置される運営費交付金と自己収入で運営している。 大学本体は予算が無くなればそれ以上は使えない。附属病院は自己収入が85%を占めており、 これを財源として人的投資を行う事業計画を進めているが、 収入としての見返り増は1~3年後という状況であることから、 診療において赤字となった部分については資金の不足が生じることとなる。

法人化当初は、期末に20数億円の資金が残っていたが、その後、借入金の返済を含め支出が収入を上回る結果となり、今年度は約8億円まで資金が減少すると見込まれる。また、来年度はさらに減少し不足する事態が予測される。

このような状況について現在、学内で説明している。

○ そのような事態になるということは、日本の医療、研究体制、教育体制が根本的にだめになってしまうということである、と早く言わないと事態が起こってからではどうにもならない。

→ その努力は、すぐにしなければいけないが、 国立大学法人がこれだけの数必要ないのではないかという意見もある。 構造改革を図るか、あるいは統廃合によって処理しなさいというフレームも言われている。

○ 私が疑問に思うのは、経済財政諮問会議や教育再生会議の議事録を全部見ているが、 こういう形の議論は一度もなされたことがない。大学の在り方、附属病院の在り方については、 日本のために、総理大臣に直接、国立大学協会の会長がお話に行かれる必要があると思う。

○ 附属病院が、赤字になっているけれども、 一体感があり附属病院の構成員が非常に頑張っているというのは大変な財産である。 附属病院だけでなく、全学の構成員が一体感を持つにはどうすればできるかということを考え、 それがうまくできれば、世の中を動かすということも可能だと思う。

トップの者たちだけが問題意識を持つのでなく、 是非、一人一人の構成員に、 同じ問題意識を共有できるように取り組んでいただきたいと思う。

→ 御指摘いただいたことを中心にして、全学の構成員の共通理解を図りながら、 それを達成するように全力を挙げたいと思う。

なお、今回の目的積立金の取り崩しに関しては、病院の積立金の取り崩しのみで、 次年度以降のフレームまで決定するものではないということを御理解いただきたい。