日時
平成20年6月20日 (金)  13:00~16:20
場所
神戸大学事務局 大会議室
出席者
野上議長 (学長)、土井委員、 薄井委員、太田委員、 中野委員、安藤委員、太田和委員、鈴木委員、天野委員、河内委員、 谷井委員、新野委員、はま委員、平野委員、水越委員、矢田委員
(オブザーバー) 中村監事、枡田監事、杉村病院長
欠席者
堀尾委員、井戸委員、佐藤委員
議事要録について
第15回経営協議会の議事要録について、特段の意見はなく、役員会として確認の上、神戸大学のホームページに公表する旨説明があった。
協議事項
[委員からの主な意見等 (○: 意見・質問、→: 回答)]
1. 大学機関別認証評価に係る自己評価について

大学機関別認証評価制度及び自己評価書について説明を行い、 審議の結果、原案を承認した。 なお、今後修正がある場合は、学長一任とすることとした。

2. 中期目標の達成状況報告について

中期目標の達成状況に関する自己評価について説明を行い、審議の結果、原案を承認した。 なお、今後修正がある場合は、学長一任とすることとした。

 
3. 平成19事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間 (平成16~19事業年度) に係る業務の実績報告について

平成19事業年度及び平成16~19事業年度に係る業務の実績に関する自己評価について説明を行い、 審議の結果、原案を承認した。 なお、今後修正がある場合は、学長一任とすることとした。

4. 平成19年度財務諸表について

平成19年度財務諸表について、決算概況書に基づき説明を行い、審議の結果、 原案のとおり承認した。 また、目的積立金取崩額の変更及び財務諸表に添付する事業報告書 (案) について説明を行い、 審議の結果、原案のとおり承認した。

5. 平成21年度事業計画 (概算要求) について

組織の廃止転換・再編成等、特別教育研究経費及び施設整備について説明を行い、 審議の結果、概算要求の要求順位について学長一任とすることで原案を承認した。

○ 法人としていろいろな事業がある中で、 附属学校の規模を単に縮小するのではなく、 あるところは拡充するということを考えて予算要求すべきである。 学部学科の再編等と同じであるが、あるところを縮小するが、 あるところは拡充したいという法人全体としてのバランスを考慮すべきであり、 縮小分をすべて国に返すということになると、国立大学法人の経営の自由はなくなる。 附属学校の定員は重要なリソースであり、このリソースを、 神戸大学がどのように使えるかによって、他の国立大学の態度が決まってくる。 文部科学省に対しては、 附属学校再編に伴う定員の減が経営努力として認められるように強く言っていただきたい。

→ 教員及び職員に対しては毎年△1%の人件費削減を行わなければならない。 教員に関しては、これまで大学教員の削減を行ってきたが、 附属学校は再編により大規模なスクラップ・アンド・ビルドを実施するということで、 教員についてこれまで一切手を付けていなかった。 再編を行うに当たり、 附属学校の教員についても△1%相当分の人件費を削減するとの方針の下に計画しているが、 ある程度は大学の経営努力と認められるよう働きかけたい。

○ スーパーコンピュータ関係施設の要求計画は、平成23年度以降の要求になるのか。

→ 平成22年度以降に要求するということで、 整備をしていきたい。平成20年度、平成21年度に自然科学総合研究棟4号館の新営が認められたが、 これは卓越した研究拠点ということで、 そのような一つの流れの中の次のステップとして交渉していきたいと考えている。 平成20年度の狭隘解消整備に頭出しとして、自然科学総合研究棟5号館新営工事を盛り込んでおり、平成21年度、 平成22年度も続けて要求を行っていき、平成22年度の概算で認められればと考えている。

6. 神戸大学医学部附属病院『平成20年度事業計画』について

外部コンサルタント会社であるCDIの担当者の陪席について了承を得た後、 医学部附属病院の平成20年度から平成21年度までの経営計画について説明を行い、 審議の結果、平成20年度事業計画を承認した。

○ 収益の項目として「特定運営費交付金」、 「病院運営費交付金」、「その他の運営費交付金」と3種類の運営費交付金があるが、 これらはどういうものなのか。 また、費用の項目で「減価償却費」とは、設備に係るものなのか。 また、現金等の増減の項目で「債務負担金」とは、病院施設の建設費用を返済しているものなのか。

→ 「特定運営費交付金」は、 附属病院所属教員と医員 (研修医) の人件費のほか、教育研究経費に充当する経費として配分されるものである。 「病院運営費交付金」は、△2%の経営改善係数に関わるもので、 法人化当初は17億円強措置されていたが、これは診療経費と債務負担金を病院の自己収入で賄うことができない場合に、 その不足となる額を「病院運営費交付金」として措置される仕組みとなっており、 平成21年度にはゼロになる。「その他の運営費交付金」は、 退職金や赴任旅費など生じる費用に見合った額を運営費交付金として配分を受けるものである。 また、「減価償却費」は、施設と大型設備等に係るもので、 「債務負担金」は、病院施設の建設及び設備に係る借入金の返済に充てるものである。

○ 看護師を増員し、 一気にマンパワーとして増強させるというのは、簡単なことなのか、それとも相当な努力があったのか。 また、一気に増員したことによって、病院の現場では何が起きたのか。

→ 平成18年4月からの診療報酬制度の改定により、7対1入院基本料が創設されたことに伴い、 多くの病院が看護師を増員することとしたため、看護師を集めることは極めて難しくなっている。 本院では、就職希望者に対する病院説明会、大学等における就職説明会等で、 看護部が新卒者のニーズを的確に把握しており、新卒看護師の多くが希望する2交代制勤務を導入したり、 新卒看護師の教育体制の整備に取り組み、充実を図ってきた。 その結果、平成18年度に実施した看護職員採用試験では、 内定者のうち65%しか応諾を得ることができなかったのが、 平成19年度に実施した看護職員採用試験では、内定者のうち82%が応諾し、 本年4月には多くの看護師を採用することができた。 また、看護師を増員する前は、病棟に夜勤の看護師を2名しか配置できなかったが、 増員後は夜勤の看護師を4名ないし5名配置したことにより、 緊急事態への対応及び手厚い看護を行うことができるようになり、 患者さんの立場からすると、安心して入院できる状況になっている。

○ 大学附属病院の場合は、 患者さんが特に高度な要求をするケースが多いので、 病院経営が非常に難しいことを十分に考えておかなければならない。 診療科別収支差一覧表を見ると、 病院としてどの診療科に重点を置くのかということが非常に難しいと思われる。 この資料では麻酔科と放射線科の収支がすべてマイナスとなっており、 とりわけ麻酔科医はどこの病院でも非常に不足しているが、この数字はそういうことと関係があるのか。

→ 麻酔科と放射線科は、 自らの科の収入として計上されないサービス部門であるため、 この資料では収支はマイナスとして表示されてしまう。 この資料のうち、診療科別収支による分析に用いる費用は、直接経費と人件費のみとし、 減価償却等については含めずに分析することとしている。

○ 今は勤務医ではなく、 独立した麻酔医が多くなり、どこの病院でも麻酔医が不足している。 私が直接関係した病院でも、 麻酔医が不足しているため手術をほかの病院で行っているケースが幾つかあった。 そうなると、病院経営上は非常にマイナスとなる。 麻酔医を補充していくことで、附属病院の在り方が非常に違ってくると思われるが、何か工夫をしているのか。

→ 一般病院では、1人の麻酔医が複数の手術を担当する並行麻酔を行っているところが多いが、 本院では質と安全を確保するため、 1つの手術を麻酔医2人 (麻酔科専門医と麻酔医) で担当する管理麻酔を行っている。 本院の手術室は全部で13室あるが、麻酔科が管理麻酔を行っている手術室は平均で8.5室となっており、 これを10室とするため、病院長のミッションとして、麻酔医を確保することに非常に重点を置いている。 現在は、管理麻酔を行っていることにより手術数を伸ばすことができていないが、 これに関しては現体制を絶対に守った上で、 手術数を伸ばすためにも麻酔医を増やすことに努力しており、 今年は何とか数名の麻酔医を補充できる見込みである。

→ 前回の協議会から今回までの間に、 附属病院の構成員が頑張った結果、ここまで具体の数字が見えるようになり、 それぞれに目標設定をして動けるところまできた。 これを着実に実施すること、この数字がぶれることなく確実に達成することは、 相当大きな負担ではあるが、心を引き締めて、全学の理解を得ながら進めていきたい。

→ 本経営計画の策定に当たっては、 経営学研究科の病院経営専門家である松尾准教授と外部コンサルタント会社である CDI担当者にご指導をいただいたところである。 本日、陪席願ったCDI担当者に現在の状況についてコメントをお願いしたい。

CDI担当者からのコメント

今年の2月から、7名体制で財政構造改革プロジェクトに取り組んできた。 今回の経営計画については、実現の可能性がどのぐらいであるかということが、今後重要になってくる。 収入も相当上がり、コストを下げるということは簡単なことではないが、 決して実現不可能なことでもないと考えている。

この間のプロジェクトは、2月、3月は私ども7名が中心となって全体の診断をし、 4月、5月は、病院内に9つのプロジェクトを立ち上げて実行に移し、 現場の人たちの積み上げで経営計画の数字を作ってきた。 決してコンサルタントが勝手に作り上げた数字でも、一部の事務の方が作った数字でもなく、 病院の医師、看護師、コメディカルの方々と事務とが一緒になり、 私どもがサポートしながら作り上げた数字である。

また、PDCAサイクルを機能させるには、 この経営計画の進捗管理をしっかり行うことが課題になると考えており、 7月末までに、実際にどのようなプランで、実行、チェック、アクションを行っていくかについて、 きちんと業務フローに落としていきたいと考えている。

明るい話題としては、2月、3月に神戸の地域住民の方、 実際に入院されている方、外来の患者さん約3,000名に対してアンケート調査を実施したところ、 外部の評価は非常に高かった。 これまで、国立大学の附属病院を数カ所担当したが、 ここまで高い評価であったところは初めてで驚いた。 神戸大学の附属病院は、非常に地域から支えられており、 外部環境は非常に良く、 後は、内部環境としてきちんとお金が回るようなオペレーションをしていけば良いと考えている。

7. 計算科学の人材養成に係る神戸大学の取組について

神戸地区をコアとした計算科学に係る人材養成協力体制及び平成22年度に設置を予定しているシステム情報学研究科の検討状況について報告があった。

○ この夏に、地球シミュレータがパワーアップされ、 実効性能では現状の2倍となり、時間的に使える余地が膨らんでくる。 いいプログラムを作成すれば、活用することが可能である。 そういうことも含めて関西地区で相談しながら進めてはどうか。

○ この分野の人材に関しては、国内で小さくまとめるよりも、 初めからインターナショナルに本当にいい人材を集めるという視点を持つ必要がある。

→ インターナショナルの視点を持つことは、 非常に重要なポイントだと考えており、教育の面でも、 国内の学生のドクター進学だけではなく、海外からの大学院生の受け入れ、 若しくは研究者との交流というところを看板にして進めていきたいと考えている。

○ 大変新しい試みで、これ自身は神戸大学にとっても非常にプラスになると思うが、 旧七帝大は、人員、施設も整っている。また、兵庫県立大学の場合には、 県が予算を措置し、来年度からスタートしようという計画 (研究科は、平成23年度設置予定) になっているので、 財政的な心配は余りない。しかし、神戸大学の場合には、文部科学省から予算措置されればよいが、 建物、その中の施設、人員について学内で措置するとなると、難しい問題をたくさん含むことになる。 学内で説明する際には、全体としてどれくらいの費用が必要で、 どのようなことが期待できるかということを説得性のあるもので示す必要がある。

→ 現在の大学の運営経費だけで、新研究科の運営経費を賄うことは難しい。 今回、仮に教員の純増、学生定員の増が認められたとしても運営経費としては不足する。 また、特別なプロジェクトということで、特別教育研究経費が措置されたとしても永続的なものではない。 旧七帝大に設置されているセンター的なものが認められれば基盤的経費を確保することができる。 今後、どういう形で進めればよいか検討していきたい。

8. 国立大学法人神戸大学の役職員の報酬・給与等について

役職員の給与等の水準は、 閣議決定により毎年度公表することとなっている旨説明があり、公表する役員報酬等、 職員給与及び総人件費について報告があった。

9. 遺伝子組換え生物の不適正な使用に関する報告について

遺伝子組換え生物の不適正な使用に関する経緯、調査内容、 原因及び再発防止策について報告があった。 また、本件に関して、 文部科学省から本日付けで文書により厳重注意を受けた旨併せて報告があった。

10. その他

学園祭等における採血器具の使い回しについて

学園祭等において、交換すべき採血器具のキャップ部分を消毒して使い回していたことついて報告があった。