『音の万華鏡・音楽学論叢』

『音の万華鏡・音楽学論叢』

「音の万華鏡」とは音・音楽のすべての歴史的・ジャンル的に適応した音・音楽を意味しています。 西洋音楽は勿論のこと、日本、諸民族音楽をはじめ地球上の人類が表現している音・音楽すべてを相対的に捉えています。

この本は藤井知昭・岩井正浩編として、私の定年退官記念論文集の性格を有しています。 友人である日本の先駆的研究者、私の指導した学位(博士)取得者を軸に21編を収めました。ジャンルとしては西洋音楽、 日本伝統音楽、日本民俗音楽、諸民族音楽、音楽療法、感性メディア、芸術文化行政、そして音楽教育など多種多様です。 私自身も巻頭論文として「四国3収容所におけるドイツ軍俘虜の音楽活動」を執筆しています。20世紀初頭の第一次世界大戦で 俘虜となったドイツ軍兵士が中国・青島から日本各地に送られてきましたが、そのなかで四国3収容所(徳島、松山、丸亀)における 収容所での音楽活動を論じたものです。ドイツ軍俘虜達は、彼らの祖国であるドイツ音楽をさまざまなアンサンブルやソロ活動で表現 してきました。この3収容所が統合された徳島県鳴門市の収容所で演奏された男ばかりによるベートーベン作曲「交響曲第九」はその結晶です。 その活動は日本における洋楽移入のもう一つのベクトルでもありました。

(神戸大学名誉教授・発達科学部非常勤講師 岩井正浩)