『裏側からみた美術史』

『裏側からみた美術史』

本書は、資生堂の『花椿』誌の好評連載中のエッセイ「美術史ノワール」をまとめたものである。 基本的にそのときどきの興味や常日頃思っていることを綴った美術漫談であり、 大学やカルチャースクールでいつも話している内容の一端である。 いずれも私の興味を押し出したものであるが、生と死、聖と俗、言葉とイメージ、芸術家と人格、性と食、権力と展示、純粋美術と民衆美術など、 美術史の普遍的なテーマにもふれているのではないかと思っている。美術史は画家の伝記の連なりではなく、 美術作品が人の心や社会にどのように作用したかの軌跡であるからである。 以前あちこちに書いた文章や別のいくつかの拙著と部分的に重なる内容もあることをご容赦願いたい。
「指名手配写真を美術館に飾ったら、それはアート?美術史の教科書には載っていない異色の掌編20話」 (オビより)

目次

天才の嫉妬/不良か天才か/ヌードが取り締まられるとき/肖像と権力/死刑囚と美術/誹謗の肖像/危険な食物/究極の身体芸術/天国への階段/本物と偽物のあいだ/聖像が隠されるとき/社会不安は美術を変えうるか/芸術家の晩年と絶筆/語ることができることとできないこと/記録と追悼/映画になった画家たち/医学と美術のあいだ/聖人の力と呪い/戦争と美術/回顧展の流行

(人文学研究科准教授・宮下規久朗)