『舶用電気・情報基礎論-航海計測・機関計測の基礎知識-』

『舶用電気・情報基礎論-航海計測・機関計測の基礎知識-』

20世紀の100年は、人類史上でも飛躍的にテクノロジーが進歩した世紀と言えるでしょう。電気が利用されるようになり、電子技術が開発され、20世紀中頃にはコンピュータが発明されて情報技術が発展しました。今日の社会においてはこれら電気・電子・情報そして通信技術を基盤とした様々なシステムによるサービスを利用して生活しています。

船舶においても、これらを利用した運航技術の近代化という点で、20世紀の100年間はめざましい進歩を遂げた時代であったと言うことができます。船舶に初めて無線通信機が搭載されたのは20世紀が始まる少し前の1899年のこととされています。それから約100年後には海上通信はデジタル化が進み、衛星通信やGMDSS完全実施に至るまでの変化を遂げています。航海に必要な種々の計測技術においても、レーダ、GPS等の実用化により、かつての航海術からは一変して、新しい航海計器、航海機器を使いこなす技術と知識が航海士には求められています。機関の分野においても同様で、産業革命以後の機械制御から20世紀には電子制御、そしてコンピュータ制御へと技術が発展し、人間にとっては簡単な操作で複雑な制御を精度よく正確に行うことができるようになりました。

本書は2部構成で、第1部は海事科学部 (旧:神戸商船大学) において行っている電気・電子工学・無線通信の基礎に関する講義の内容をまとめたもの、また第2部は以前から行ってきたコンピュータシステムの基礎的な講義内容に、新しい航海計器等に即したデータ通信の基礎技術に関する説明を加えたものです。

最近の舶用システムにおいて航海計器はデジタル形式でデータを出力し、相互に接続するものがほとんどとなり、また機関データロガーなどもデジタル化したデータを扱うことが多くなっています。このような船舶の情報化時代に対応し、商船系の大学や高等専門学校等において航海科のみならず機関科においても電気工学と情報基礎関係の講義などで教科書として使用できるよう執筆しました。また、書名は「舶用」としていますが、一般的な工学部等においても電気工学およびコンピュータシステムの基礎的内容をまとめた参考書として利用できるのではないかと考えています。

(大学院海事科学研究科教授・若林伸和)