『江戸の文学史と思想史』

『江戸の文学史と思想史』

江戸時代の文学、特に雅文芸を考えるとき、学問との関係は抜きがたい。儒学・国学・老荘・史学等々、あるいは学問の形をとらない次元の思想的営みとの関連に目を向けることで、近世の文学史・文学研究はより豊かで厚みのあるものとなるだろう。また、それは文学研究のみならず、思想史研究にも新たな地平をもたらす可能性を持つ。本書は、そうした関心から研究の多岐にわたる実践と、今後の展望について問うものである。以下、目次をもって内容紹介に代える。

第 I 部 儒学  池澤一郎

研究領域間の架橋へ向けて 儒学

本論 大田南畝『調布日記』における漢詩文の機能

他分野との関連 儒学

研究の新たな地平へ 見えるもの見えないもの-画と賛の交響-=小財陽平

第 II 部 国学  田中康二

研究領域間の架橋へ向けて 国学

本論 国学研究にとって和歌とは何か-本居宣長『玉鉾百首』をめぐって

他分野との関連 国学は漢学から生まれた

研究の新たな地平へ 『続落久保物語』の思想性

-「大和魂」をめぐって=天野聡一

第 III 部 老荘思想  川平敏文

研究領域間の架橋へ向けて 老荘思想

本論 江戸前期における禅と老荘-山岡元隣論序説-

他分野との関連 林読耕斎と『林註荘子』

研究の新たな地平へ 一匹狼の群れ-『畸人伝』というカテゴリー-=菱岡憲司

第 IV 部 史学・軍学  井上泰至

研究領域間の架橋へ向けて 史学・軍学

本論 侍による歴史読み物-思想と文学への影響

他分野との関連 軍書をめぐる寓言論から

研究の新たな地平へ 『葉隠』を読み直す=金時徳

(人文学研究科准教授・田中康二)