はじめて学ぶ保険のしくみ(第2版)

本書の初版は2009年4月に刊行しました。幸い、多くの読者を得て、今回、第2版を刊行することができました。

本書は、私が編著者となり、一緒に研究をしている浅井義裕氏(明治大学)、小林毅氏(中京大学)、林晋氏(城西大学)に執筆者として協力してもらっています。

本書は、はじめて保険について学ぶ人を対象にして、現代の保険について最低限知っておくべき問題を厳選して、やさしく説明しています。本書の特徴は、次のような点です。

本書の内容は、はじめて学ぶ人を前提にしていますので、専門家でも意見が分かれるような難しい問題に深入りすることを避けました。こうした問題を軽視するつもりはありませんが、私たちの普通の生活に必要な保険に関する知識を学べるようにするという、実用主義的なスタンスをとることにしました。そのため、本書でカバーする範囲も大学の半期の講義で十分に消化できる分量に限定しました。この初学者にフォーカスを当てた基本スタンスが、本書の特徴の第1です。

本書の第2の特徴は、説明の裏付けが与えられるように、最新の統計データを利用している点です。保険の原理を説明するには、理論展開だけでも良いのですが、現実に起こっている問題にどう表れているのかを理解することが重要だと考えるからです。

第3に、複雑な保険現象をできるだけ明確に理解してもらうために、経済学的なロジックを使って説明する姿勢をとったことです。これは、編者をはじめ執筆者が経済学者だということが大きな理由ですが、事柄の本質を理解するうえで有益だと信じています。

第4に、保険を金融の枠組みの中で捉えようという姿勢も本書の特徴であると思います。したがって、さまざまな箇所での説明において、銀行や証券会社との比較が出てきます。金融業の融合化が進んでおり、保険ビジネスと証券ビジネスの境は曖昧になってきました。大手の金融機関も金融コングロマリット化し、保険会社と銀行や証券会社との垣根も低くなってきました。こうした現実を反映して、保険を金融の枠組みで捉えることの妥当性は高まっていると思うからです。正直にいえば、金融論から保険研究にアプローチする編者のような研究者にとっては、これ以外のスタイルで執筆できないのですが、保険よりは馴染みのある銀行や証券と比較しながら説明することから、シナジー(相乗)効果が得られるだろうと期待しています。

読者の皆さんが本書で保険を勉強して「賢い」消費者になり、豊かで自立的な生活を送る手段として保険を活用していただけることを願っています。

 

目次

くらしの中の保険
保険の原理
保険の歴史
現在の保険制度
保険契約者の保護
金融機関としての保険会社
保険会社の経営課題
生命保険商品
火災保険
自動車保険
その他の保険
社会保険
年金
新しい保険の登場
私たちの生活設計と保険

 

(経済経営研究所・教授 家森 信善)