アカウンタビリティ改革の政治学

アカウンタビリティは、代表制民主主義の根幹をなす重要な概念であるにも関わらず、政治学分野における研究は発展途上にあるといえます。とりわけ、欧米や新興民主主義諸国において、近年急速に研究が進展しているにもかかわらず、日本ではこれまで体系的な研究が行われてきませんでした。しかし、政治資金の不透明な支出が頻繁に取り沙汰されたり、選挙における不正が後を絶たない日本においても、アカウンタビリティを確保するための制度や政策をどのように作り上げていくかという課題は、重要性を増しつつあります。

本書は、日本におけるアカウンタビリティの政治学研究の発展を目指すとともに、日本を含む民主主義諸国が抱えるアカウンタビリティの問題の理解、およびその解決に向けてどのような改革が各国で行われてきたのかを体系的に研究した、先駆的な業績といえます。まず、アカウンタビリティ概念についての定義、類型化、および分析枠組みの提示を行った後、世界各国でアカウンタビリティの向上を目指す改革がどのように進展してきたのか、について、日本を含むアジア、欧米、ラテンアメリカの事例に着目し、実証的に比較・分析しています。この本が、政治学分野におけるアカウンタビリティ研究のさらなる発展を促すものになることを期待します。

なお、本研究は、日本学術振興会科研費・基盤(B)「アカウンタビリティ改革の包括的研究」(課題番号:23330043)の助成を受けたものです。

 

目次

序章 アカウンタビリティ改革の政治学(高橋百合子)
第1部 概念・理論の検討
第1章 アカウンタビリティ研究の現状と課題(粕谷祐子・高橋百合子)
第2部 選挙アカウンタビリティ
第2章 選挙アカウンタビリティの構造(曽我謙悟)
第3章 選挙アカウンタビリティの実証分析(大村華子)
第3部 水平的アカウンタビリティ
第4章 情報公開法成立の比較政治学(粕谷祐子)
第5章 中東欧諸国の汚職対策機関(久保慶一)
第6章 ラテンアメリカにおける会計検査制度改革(高橋百合子)
第4部 社会アカウンタビリティ
第7章 インドネシアにおける社会的権力とアカウンタビリティ(クリスチャン・フォン・リュプケ)
第8章 日本における裁判員制度の創設(鹿毛利枝子)
第9章 アメリカの政府監視団体の政治過程(岡山 裕)
第5部 国際的アカウンタビリティ
第10章 ユーロ危機の政治学(小川有美)

(国際協力研究科・准教授 高橋百合子)