メンデルの仕事と生涯「今に私の時代が来る」

メンデルが論文「植物雑種の実験」で遺伝の法則を明らかにした1866年から数えて今年は150年になります。メンデルは、オーストリア帝国の小村ハイツェンドルフの小農の子として生まれ育ち、苦学の青年期を経て、帝国第2の都市ブルノの聖トーマス大修道院の修道士となりました。メンデルの才能を愛でた多くの人々、わけてもナップ大修道院長の理解と支援を得て、ひそやかに、しかし確固とした目標と信念をもって始めた10年に及ぶ仕事が遺伝学への扉を開いたのでした。本書では、メンデルの仕事とその生涯を振り返って見ました。科学は優れた個人の叡智と努力、そしてそれを支える多くの人々と時代背景のもとに生まれるという事実を、本書を書きながら思い起こしました。読者の皆様の何かの参考になれば嬉しく思います。

神戸大学農学部インターゲノミクスに掲載されています。 http://www.research.kobe-u.ac.jp/ans-intergenomics/

 

目次

はじめに
第1章 幼少期、青年期から修道院へ
第2章 メンデル以前の遺伝に関する考え方
第3章 植物雑種の実験
第4章 実験の目的とメンデルの考察
第5章 遺伝法則の意義と発見の秘訣
第6章 遺伝法則の再発見とメンデルを巡る論争
第7章 晩年と死
おわりに

 

(農学研究科・名誉教授 中村千春)