比較教育社会学へのイマージュ

本書は2003年2月に刊行された『比較教育社会学入門』の改訂版である『教育の比較社会学』(2004年1月刊行、2008年1月増補版刊行)の通算四訂版である。2008年1月の増補版刊行から8年の年月が流れ、日本、イギリス、アメリカ合衆国では政権交代を経験し、教育政策のあり方も大きく変化している。今回、そういった近年の動向を可能な限り盛り込む形で四訂版を刊行することとした。

なお、これを機に表題も『比較教育社会学へのイマージュ』と改めた。この新しいタイトルは、もともと2001年秋に上智大学で開催された日本教育社会学会第53回大会において、本書刊行の打ち合わせのために都心で会食しようと学文社の田中千津子社長と原教授、私の三名がタクシーに乗っていた折に原教授から出された候補の一つ『社会学のイマージュ』がもとになっている。原教授はかなりの思い入れを持っておられるようであった。フランス語の音感が大好きな私自身もかなり気に入っていた。

しかし、フランスの社会学者、アラン・トゥレーヌに『社会学へのイマージュ』なる好著があることもあって、この時は結局『比較教育社会学入門』という、無難だが面白みに欠けるタイトルに落ち着いた。もちろん、原教授も私も「イマージュ」への未練を残していた。今回の改訂―おそらくは最後の改訂であろう―では、原点に戻り、『比較教育社会学へのイマージュ』とネーミングでき、長年の盟友、原教授の発案を実現でき、うれしい限りである。

いつもながら、本書の息の長い改訂作業を温かく見守ってくださる学文社の田中千津子社長、編集部の方々に感謝したい。

 

目次

第1章 学校病理をとらえる視点 ―いじめ問題を中心として―
第2章 学歴社会は崩壊したか
第3章 国際化社会と教育
第4章 現代イギリスの教育改革
第5章 現代アメリカの教育改革 ―公教育システムの官僚制化の流れへの挑戦―
第6章 現代中国の教育改革
第7章 現代シンガポールの教育改革 ―グローバル化への対応―
第8章 若者の就労問題について考える ―教育から労働へ移行できない若者の実態―

 

(大学教育推進機構/大学院国際協力研究科・教授 山内乾史)