リスクを負いながら地域おこしで大きく成長~篠山市地域おこし協力隊・瀬戸大喜さん

2016年03月22日

篠山市地域おこし協力隊として地域活性化に奮闘している発達科学部人間行動学科4年の瀬戸大喜さん。規定で篠山市に移住しなければならず、篠山市から大学に通うスタイル。どのようなきっかけで、どのような考えで活動しているのか、話を伺いました。

瀬戸さんは2014年4月から篠山市地域おこし協力隊として活動。地域おこし協力隊は2009年から総務省が導入した制度で、隊員が様々な地域活動への参加を通して、地域への定住・定着を目指すものです。大学では東洋医学と健康について学び、勉強をしていくうちに環境にも興味を持つように。そして篠山市の農家から農業について学ぶ講義「実践農学入門」を通して、篠山市に関わるようになり、現在、協力隊員として活動しています。


―篠山市の地域おこし協力隊の特徴は?
大きく3点あります。
①篠山市の地域おこし協力隊員募集は神戸大学に委託されていること。2010年に篠山市・神戸大学の地域連携協定を締結しており、交流があることがきっかけになっています。
②全国的に地域おこし協力隊員は社会人が多いですが、私は学生なので、半学半域という、学校に通いながら地域に関わるスタイルを取っています。
③コーディネーターの存在も特徴です。学生では経験値が浅い分、地域の方との関係づくりが難しいところを橋渡し役になってくださっています。
高校生マイクロ水力発電アイディアコンテスト篠山大会の様子

―取り組んでいる主な内容はどのようなものでしょうか?
ひとつは水力発電です。大芋(おくも)地区には川や農業用水路が多く、これを上手く活用できないかと考えていました。昨年には高校生対象の「マイクロ水力発電コンテスト」を開催し、地域交流のきっかけに。お年寄りにとっては昔からなじみ深いもの、こどもにとっては原理が理解しやすく、幅広い年代を巻き込むことができました。
また、任期は最長3年までと決まっているので、任期後でも活動できるように合同会社「ルーフス」を他の隊員、コーディネーター含めた4人で設立しました。中心は教育事業。僕の担当している大芋地区は市街地から車で30~40分ほど離れた場所に位置しており、近くに塾が無いので、小さなお子さん持ちのご家庭は困っていました。「勉強教えて!」という声をチャンスに変えて、移動式の寺子屋を公民館やお寺などで小中学生に指導しています。

―困難なことはありましたか?
一度、やることが立て込んで辞めたくなった時期があります。正直、最初は軽い気持ちで始めたので、1年やって大学に戻ろうと考えていました。しかし、続けていくと協力隊の活動にのめり込んでいく自分に気づきました。コーディネーターから「地域の自治体や企業の社長と同等の立場で発言できるという、若いながらも地域に影響を与えることができるのはなかなか経験できないこと。事業を立ちあげ、自分の考えを反映させたり、活かすことができるとすればこれ以上おもしろいことはないんじゃないか?」とのアドバイスが後押しに。振り返ると、あの時に継続しておいて本当に良かったと思います。 これまでの約2年間、学生と合同会社役員、協力隊の3つの顔をあわせもって活動してきました。
広報誌「篠山市・神戸大学 連携の現場から―地域と学生の歩み―」を持って

―活動を通して、発見したことや学んだことは?
僕は宇治というベッドタウン育ちで、地域への愛着を強く感じたことはありませんでした。一方で、篠山市では地域への愛着をもっている人が多く、ひとつの方向に向かっていけるところがあり、素晴らしく思います。
また、仕事とは何か?という面での考え方で発見がありました。ここに来てみると、「農村は困りごとや課題はたくさんあるのに仕事がない」という現状。それは作っていく人がいないからです。お金はあっても、まわす人がとにかくいないのです。今回の寺子屋も塾を開こうという人がいないだけで、環境は整えられるんです。実際、何も分からない大学生が起業して1年が経ちますが、新しいスタイルの塾を開けば11人も生徒を迎えることができています。困りごとがあるけど、一歩踏み出してリスクを負う人がいなかっただけなのでは、と感じます。 以前は、仕事がもともとあるところへ自分にあえば入るというのが普通だと思っていましたが、仕事は作っていけるんだなと実感しました。農村はゼロからイチを作りたい人に最適です。

―篠山市の魅力は?
「人が暖かい」に尽きます。右も左も分からない学生が「水力発電所をつくる」と言い出したにもかかわらず、協力してくれる方がいらっしゃいましたし、「これ一緒にできないかな?」と声をかけてくださったり。そういったなかで信頼を作ることができました。 地域との信頼関係のもとに、行政とのつながりも強みとして、来年度は健康学習の仕組みづくりをチャレンジしてみるつもりです。何もないところからですが、それができると思えるのは地域の信頼ありき。1人じゃないから見えてくるものがあります。

―神戸大学生へのメッセージ
新しいことに挑戦したいというモチベーションのある学生は農村部、特に篠山市に一度足を運んでみてください。授業やサークル、そのほかに合同会社のバイト、寺子屋の講師としても関わることができます。 これから社会がどうなっていくのか、自分がこれからどうやって生きたいかということをもとに、逆算して自分は何をすべきなのかをアンテナ張って情報収集していってほしいです。
どうしても日本の社会は新しいことにチャレンジする、リスクを負って物事に取り組むのを避けがちな社会。確かにそういう生き方はしんどいし理解されにくいかもしれないです。私も篠山の人に「神戸大学まで出てなんで来たん?」と言われたこともあります。 でも、「チャンスを感じて楽しいからやっているんだ」ということはぶれていないと思います。 自分で道を切り開いてきた2年間の経験から言えることです。 世の中にはない職業だからととどまらず、どんどんトライしていってください。自分のなかでこういう社会が来るんじゃないかなと思うなら、一歩踏み出してみましょう。
安住してしまうのはそもそも外の世界を知らないからです。知らないと行動は移せません。社会の現場に出てみると、それまでの既成概念も外れますよ。

―瀬戸さんご自身、これからは?
鍼灸師(しんきゅうし)の資格をとるため専門学校で3年間勉強しながら、合同会社にも携わっていくつもりです。
これからも神戸大学との関わりは継続します。来年度の農学部講義「実践農学入門」の開催地は大芋地区(予定)。そこをきっかけに大学生とも関わりが持てたら素敵ですね。何かしたい、ローカルベンチャーに興味があるという相談があれば何か一緒にできるかもしれません。 他大学の方も歓迎です。本気でやってみたいという方、是非来てください。 今は協力隊員に女性がいないので・・・女性大募集しています。笑

○取材を担当した学生のコメント:
海事科学部 米村 太志
「困難な状況でも、一歩自分で前に踏み出したからこそ、伝わる瀬戸さんの考え、思いがありました。将来に不満を抱え、踏み出したくても踏み出せない学生に響くものがあったのではないでしょうか?瀬戸さんをはじめ、篠山市地域おこし協力隊がこれからもご活躍なさることを期待します」
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(総務部広報課、学生広報ボランティア)