【取材報告】100年後、1000年後の未来はどうなる!?〜未来世紀都市フェス~

2017年08月04日

 7月2日(日)、神戸大学百年記念館の六甲ホールにて、未来世紀都市フェスが行われました。このイベントは神戸大学の先端融合研究環、未来世紀都市学研究ユニットに所属する先生方が、それぞれの研究分野の観点から未来の都市のビジョンを語り、その場で参加者が議論していくという新しい企画です。

当日は天候にも恵まれ、未来世紀都市学研究ユニットに所属する先生やその研究室の学生など、たくさんの人に参加していただきました。大学の先生の講演というと、学会発表のような堅苦しいものを想像されるかもしれませんが、このイベントは、神戸大学の文理融合を進める統括責任者である水谷文俊理事からの挨拶のあと、15分間、参加者が席を立ち、周りの人と自己紹介するところから始まりました。はじめは皆さん困惑している様子でしたが、だんだんと打ち解けて、時間をオーバーするほどの盛り上がりでした。

その後、様々な分野で活躍されている9人の先生が登壇されました。格好いい登場音にスポットライトと、普段とは違う講演の仕方に緊張している先生もいらっしゃいましたが、本番では皆さん生き生きとお話されていました。講演後に参加者と議論する時間も設けられていて、講演者だけではなく、参加者が自分の考えを直接伝えて還元していける、有意義な時間となりました。

講演要約

飯塚 敦 先生(都市安全研究センター)
10万年後の未来を考えたとき、私たち人類は今まで地球の上で行ってきたことの責任を果たさなければいけない。高レベル放射性廃棄物の処理である。現在、ベントナイト緩衝材を使って放射性廃棄物を覆い、地層処理を行う研究がされている。多くの技術を用いて、より多数のシミュレーションを行ない、10万年後の安全を総合的に判断しなければならない。

堀江 進也 先生(経済学研究科)
災害からの復興を経済的な面から考えてみる。復興とは元通り戻すことなのだろうかという問いに対して、様々な復興(医療機関や商業施設)は、人が集まっていないと難しいと指摘し、元に戻すだけでなく、発展させることによって、新たな価値を生み出すことができると考えている。

浜口 伸明 先生(経済経営研究所)
都市の流動性についてのお話。都市はソリューションでもあると同時に問題源でもある。特許申請の数は人口に比例するわけではなく、人口が多ければよいという訳ではない。一極集中を是正し、流動性を高め、大都市と地方都市の両方で知識創造活動を増加させることで、イノベーション活動を活発にするべきだと考えている。

大村 直人 先生(工学研究科)
イノベーションを行うとき、専門家の多様性が高くなればその分くだらないアイデアも出るが、飛び抜けて価値の高いアイデアが生まれる。このような突拍子もない新しいアイデアを生み出すために、アイデアの出し合いとブレーンストーミングを繰り返す、デザイン思考が用いられている。これは物理世界の攪拌現象と似ている。未来社会創造研究会ではこのようなアイデアの攪拌の場づくりを行っている。

奥村 弘 先生(人文学研究科)
災害に強い地域社会を今後どのように作っていくか、ということについて考えてみる。阪神淡路大震災もそうだが、災害の記憶は、リアリティのある形ではなかなか伝わりにくい。メディアの報道でも、絆が、命の大切さが大事だということがとても抽象的に語られているように感じられる。災害に強い社会や文化を育むには、地元の方への聞き取りを通して社会に蓄積された知を整理したり、体系的に伝えたりすることが必要だと考えている。

北後 明彦 先生(都市安全研究センター)
防災、減災を進めるとき、それぞれの地域の土地、住む人々にあった対策・復興が必要である。災害時に適切に対応するため、障害者や高齢者の移動を考慮したシミュレーション実験や避難経路の確認が行われている。地域の人々、行政、専門家、マスメディアが協力して作り上げる、つながりを生かした持続可能な地域を考える。

金子 由芳 先生(国際協力研究科)
安全な都市作りに住民参加を関連させて考える。災害時には、自分自身で助ける自助、公的な制度や取り組みで助ける公助、地域の人々で助け合う共助の三つの観点の「助け」があるが、今後重視されるべきなのは共助。共助を発展させる公助の枠組み作りが重要だ。

梶川 義幸 先生(都市安全研究センター)
気象・気候の研究は、理論・観測・計算から主に成り立っている。その中でも、数値シミュレーションの可能性を取り上げる。コンピュータが発達するにつれ、プロセスが増え、アンサンブル計算が可能になり、モデルの解像度が上がるなど、数値シミュレーションの方法もどんどん発展してきた。今後、この数値シミュレーションを用いることで気象予測の不確実性を減らし、都市環境変化の影響を議論できるようになるだろうと考えている。

Q.「モデルの解像度が上がる」とはどういうことでしょうか。
A.地球全体を格子状に区切った目が細かくなり、より詳細に数値シミュレーションを行い表現することが可能になったということです。

大石 哲 先生(都市安全研究センター)
天気予報はどのような価値を持つか。天気予報において最も重要なのは、観測データを得ることである。気象庁や国土交通省等では、観測によって得た多くのデータを公開しているにもかかわらず、それらを私たちが利用することは少ない。情報過多になりやすい上、俯瞰的な視点が私たちにその必要性を感じさせないからだ。そこで今後は、人工知能のような技術を用いた、私たちに「適切なみちびき」をもたらす天気予報が必要だと考える。

Q.「適切なみちびき」は、特にどのような人にとって必要でしょうか。
A.市長といった災害時に一般市民を誘導する立場にある人が、判断を間違えずに済むようなサポートが必要であると思います。

関連リンク

神戸大学先端融合研究環未来世紀都市学研究ユニットHP


取材を担当した学生のコメント

梶 晃子(工学部4回生)
一度に様々な分野の先生のお話を聴くことはあまりないので貴重な体験になりました。休憩中に講演者の先生方と参加者が話をできる空間があり、新しいつながりができていく様子が見られたことが印象的でした。

下村 明日香(経営学部2回生)
様々な分野の先生のお話を一度に聞くことができ、よい経験となりました。普段、自分がかかわらないような分野のお話はこのような機会でしか聞くことができないので、とても有意義でした。実際に何人かの先生とお話しさせていただくことができ、非常に面白かったです。

三島 春香(経営学部2回生)
今回のご講演では、先生方が生き生きとお話しになっている姿がとても印象的でした。私たちが住む都市の未来について考えるきっかけとなり、参加した方々にとってとても良い機会であったと思います。


(総務部広報課、学生広報チーム)