研究室クローズアップ/理学研究科 佐藤拓哉准教授

2013年8月2日


寄生者が紡ぐ森林・河川の生態系を研究
神戸大学理学研究科生物学専攻生物多様性講座 佐藤拓哉准教授

 

佐藤先生は2013年6月、京都大学白眉センターから着任しました。寄生虫のハリガネムシが森と川という異なる生態系をつなぐ重要な役割を果たしていることを世界で初めて実証しました。ハリガネムシは直径0.5ミリ、長さ150ミリ程度。河川で卵からふ化して、カゲロウやトビケラといった水生昆虫に寄生。水生昆虫の羽化に伴って陸に移動したときにカマドウマ類などの陸生昆虫に補食されることで寄生する宿主を変え、体内で成長します。そして産卵期になると宿主のカマドウマの行動を操作して水に飛び込ませます。

佐藤先生を中心とする研究グループは和歌山県の小河川に、河川に飛び込むカマドウマ類の量を人為的に操作する試験区を設定。カマドウマの飛び込みが制限されたところでは藻を食べる水生昆虫が代わりに食べられて、勢い藻が繁殖する結果が出ました。森と川の生態系はハリガネムシを通してもつながっていたのです。この結果はエコロジーレターズ2012年8月号に掲載されました。

今、佐藤先生は北海道など各地で採取されたハリガネムシと宿主である昆虫との関わりが季節的にどうなっているのかなどを調べています。そこから何が浮かび上がってくるか。「嫌われ者にも何か役目がある」。そう言い切る佐藤先生は来年から院生を迎える研究室の整備を進めています。

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(広報室)

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