【式辞】神戸大学創立110周年記念式典 学長式辞

神戸大学長の福田秀樹でございます。

 

本日は、ご多用中にもかかわらず、神戸大学創立110周年記念式典にご臨席賜りまして、誠にありがとうございます。

文部科学省大臣官房審議官 常盤 豊様、兵庫県知事 井戸敏三様、高エネルギー加速器研究機構 特別栄誉教授 小林 誠様をはじめ、各国総領事館、国内外の大学等教育研究機関、各企業・財団、各報道機関等の代表者の方々、また、本日お忙しい中、御講演を賜ります、楽天株式会社代表取締役会長兼社長の三木谷 浩史様、及び2008年ノーベル生理学・医学賞を受賞されました世界エイズ研究予防財団所長のリュック・モンタニエ博士、そして本学をご支援してくださっている多数の方々にご来臨を賜りましたこと、誠にありがたく、心より厚く御礼申し上げます。

また、EU大統領で神戸大学の名誉博士でもおられますヘルマン・ヴァンロンプイ様から、記念式典に対してお祝いの映像メッセージを賜りました。

ヴァンロンプイ大統領閣下におかれましては、政局ご多忙のところ、このようなご高配を賜りまして、衷心より敬意とともに感謝を申し上げる次第です。

 

さて、神戸大学の創立の起点は、さかのぼること110年前の1902年、明治35年に、兵庫県下で最初の高等教育機関として、「神戸高等商業学校」が設置されたことによります。

この「神戸高等商業学校」は、後に「神戸商業大学」に昇格し、兵庫県唯一の旧制大学として全国に名を馳せました。

戦後の1949年、昭和24年には、神戸経済大学、神戸経済大学予科等を包括して、文理学部、教育学部、法学部、経済学部、経営学部、工学部の6学部と教養課程からなる新制総合大学として新たなスタートを切りました。

その後、兵庫県立神戸医科大学、兵庫県立兵庫農科大学の国立移管により、医学部と農学部が、そして、平成15年には、神戸商船大学との統合により海事科学部が設置され、現在11の学部、14の大学院研究科、1研究環、1研究所、1教育研究府、及び各種センター等を擁する、全国有数の総合大学に発展しております。

神戸大学は、開学以来、「学理と実際の調和」という理念の下、普遍的価値を有する「知」を創造するとともに、人間性豊かな指導的人材を養成することを使命としてきました。

この使命を実現するために、2006年に「神戸大学ビジョン2015」を作成し、世界トップクラスの教育研究機関となるべく、2015年に向けてなお一層の機能強化を目指しているところです。

ビジョンに描かれた研究、教育、社会貢献、大学経営の4つの項目につきましては、今までも努力を積み重ねてまいりましたが、第1番目の「研究」につきましては、これまでの21世紀COEプログラムやグローバルCOEプログラムの実績を踏まえて、統合研究拠点における先端融合研究プロジェクトの推進や国際的ネットワークによるグローバル展開の促進などを目指しています。

 

ここで、統合研究拠点について、少しご説明いたします。

神戸大学は平成19年4月に自然科学研究科を改組して自然科学系先端融合研究環を設置し、自然科学系の融合研究を推進してまいりました。

私は、この先端融合研究環のような研究形態を、神戸大学の多彩な学問領域に拡大して融合研究を推進することが神戸大学にとって重要であると判断いたしました。

一方、統合研究拠点の設置場所に関しては、ポートアイランドに設置される理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」や、その他の研究機関との連携を推進し、それらの研究成果を世界に発信するために、「京」の隣接地に設置することとしました。

同拠点は昨年4月に研究棟部分が竣工し、本年4月にはコンベンションホール及び付属施設も完成して供用を開始しました。

本日のコンベンションホール完成披露見学会においてご覧になられた方も多いと存じます。

統合研究拠点では、現在10件の融合研究プロジェクトが進行中ですが、これには理化学研究所計算科学研究機構との共同研究プロジェクトも含まれております。

そして、本日午前中には、「神戸大学と理化学研究所計算科学研究機構との計算科学分野における連携・協力に関する協定」を締結したところであります。

今後、同研究機構との連携推進に加えて、SPring8、神戸医療産業都市構想、関西スーパー総合特区など、地域の特性を活かした先端研究の推進に当たっては統合研究拠点の活用を宜しくお願いいたします。

 

さて、ビジョン2015の2つ目の教育面における展開ですが、「グローバル・ハブ・キャンパス」の実現を目指しています。

これまでの海外の大学との連携や、多くの大学院GPプログラムなどの実績を踏まえて、リーディング大学院プログラムの実現、学士課程・修士課程での5年一貫の経済学国際教育プログラムの準備を推進しております。

さらに、この4月には社会科学系5部局の連携による「社会科学系教育研究府」を設置し、グローバルな視野を有する世界的なリーダーを育成するための教育研究を実施することにしております。

 

一方、卓越した社会貢献の実現については、阪神・淡路大震災の経験を活かした社会貢献の実績、東日本大震災からの復興に向けた神戸大学からの提言、災害科学分野における東北大学との包括協定の締結などを踏まえて、今後は、学外とのネットワークを形成し、世界的防災・減災研究拠点づくりによる防災・減災への貢献を目指しています。

また、地域社会への貢献の面では、兵庫県や神戸市をはじめとする各自治体との連携を強化するとともに、附属病院における先進医療、特に低侵襲医療の展開と優れた医療人の養成に尽力いたします。

 

卓越した大学経営に関しては、附属病院の経営改善が大きな課題でありましたが、着実に改善が図られ、経営が軌道に乗るようになってまいりました。

今後は、この体験を活かして、全国の国立大学病院の経営改善を先導するなどの貢献が考えられます。

また、IR機能強化のための情報戦略の推進、大学運営に係るコスト削減、及びステークホルダーへの十分な情報発信などの実現を目指しています。

我が国を取り巻く情勢は、経済の停滞、財政構造の悪化、少子高齢化の進展など、ますます厳しさを増しておりますが、神戸大学はこれまでの110年の伝統ある歴史を踏まえて、「世紀を超えて~神戸大学」を合言葉に、日本の希望ある未来と世界の人々が希求する安定的で持続的な国際社会の構築を導く原動力となるように、教育研究機能の抜本的な強化を図り、さらなる発展を目指して努力してまいる所存です。

関係各位におかれましては、引き続きご指導、ご鞭撻をお願い申し上げまして、私の式辞とさせていただきます。

本日は、誠に有難うございました。

 

平成24年5月15日
神戸大学長 福田 秀樹