【挨拶】明るい未来に向けて

2013年1月7日

神戸大学長 福田秀樹

新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、新たな年を迎えられ、良いお正月を過ごされたことと存じます。

 

さて、昨年は、5月15日に創立110周年の記念すべき日に、文部科学省、兵庫県、神戸市、各国総領事館、国内外の大学、研究機関、企業・財団など各界から多くの関係者にご臨席いただき、また、EU大統領のヴァンロンプイ閣下からお祝いの映像メッセージも賜り、盛大に記念式典を執り行うことができました。

その時、私は110年の伝統ある歴史を踏まえ「世紀を超えて~神戸大学~」を合言葉に、皆様とともに安定的で持続的な明るい社会を構築するために努力してゆくことを申し上げました。

 

ところで、最近の国内外を取り巻く情勢をみますと、国内においては、長期的な経済の停滞や財政構造の悪化、東日本大震災により噴出した、資源・エネルギーの確保や社会的インフラストラクチャーの在り方など、多くの課題が浮き彫りになりました。一方、地球温暖化や食糧不足、水不足の問題など、ますます地球規模で解決してゆかねばならない多くの危機的な問題も生じています。

このような状況下において、本学が先ほど申し上げました明るい未来の構築を目指すために研究、教育、社会貢献の分野において果たす役割と責任は極めて大きいものであると考えております。そのためには、ポスト「神戸大学ビジョン2015」として、基軸のしっかりとした長期ビジョンを策定することが必要不可欠であると考え、昨年末には執行部や事務職員と一緒になって合宿による討議を行い、検討を始めました。今後皆様にも加わっていただき、大学が一体となって進めてゆきたいと考えています。

 

さて、神戸大学における昨年の主な活動や出来事を振り返ってみたいと思います。

まず、インフラに関する施設整備面では、武道場、ライフサイエンス・ラボラトリー、兼松記念館、鶴甲1、六甲台2、名谷地区における総合研究棟、六甲台1の本館などの改修工事が完了しました。また、新規には、模擬法廷 (ラ・クール) およびポートアイランド地区のコンベンションホールも完成し、医学部付属病院低侵襲総合診療棟の新営も予定どおり工事が進行しています。

その他、統合研究拠点内に、長年の懸案でありました最新型スーパーコンピュータFX10も設置されました。

有力研究機関との連携協定に関しては、5月に独立行政法人理化学研究所計算科学研究機構と計算科学、計算機科学の分野で、そして、12月には、独立行政法人海洋研究開発機構と防災分野や海洋資源探査などの分野での連携・協力に関する協定を締結しました。いずれの協定も本学が得意とし、将来の科学技術の進展と利用が期待される重要な分野に関するもので、多くの具体的なテーマに取り組むことになっております。

 

次に主な国際化・国際交流に関する活動で私が直接参加させていただいたものに限定しますと、9月に日本側から神戸大学、京都大学、大阪大学の3大学の学長・総長、そして中国側から復旦大学、上海交通大学、蘇州大学、同済大学、浙江大学の5大学から校長・副校長が参加し、「グローバル人材育成に向けた国際化戦略」というテーマにより蘇州でシンポジウムを行いました。同じく、9月に北京にて第3回グローバルリンク・フォーラムを開催しました。そして、12月には、ベルギーブリュッセルにて、本学の自然科学系、生命・医学系、社会科学系の教員、他に大阪大学、ベルギー、オランダ、ドイツから多くの研究者が集い「グリーンイノベーションとライフイノベーション」に関するシンポジウムを開催いたしました。

一方、国際化を推進するための大型プロジェクトとして、EUの本部事業である第3期EUインスチチュート関西、文部科学省「大学の世界展開力強化事業」、文部科学省「グローバル人材育成推進事業」が採択されました。

そして、今年のノーベル賞授賞式に、本学に関係のある3人の方々が出席されるという大変嬉しいニュースもありました。すなわち、本学医学部ご卒業の山中伸弥京都大学教授が生理学・医学賞を受賞され、また、本学の名誉博士でおられるヴァンロンプイEU大統領、そして同じく本学の名誉博士でおられるバローゾ欧州委員会委員長がEUを代表して平和賞を受賞され、本学にとっても大変名誉なこととなりました。さらに、本学工学部電気電子工学科ご卒業の佐川真人博士がネオジム磁石の開発で日本国際賞を受賞されるという素晴らしいニュースもありました。

以上述べましたような活動以外に、新組織「社会科学系教育研究府」の設置、グローバル・ハブ・キャンパスの実現のための新たな教育プログラムの推進、若手教員長期海外派遣の継続など、数々の教育研究分野における改革を実施してまいりました。

 

ご存じのとおり、文部科学省では、ミッションの再定義に対するヒアリングが昨年末からスタートし、また大学改革実行プランも推進されております。しかしながら、私は、先ほど申し上げたしっかりとした長期ビジョンの策定とそれを実行させてゆくことによって、本学の大学改革が実質的に大きく進展し、その成果によって世界に大きく貢献するとともに世界最高水準の教育研究機関になってゆくものと信じておりますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。