【式辞】平成25年度 入学式 式辞

福田学長

新入生の皆さん、神戸大学入学おめでとうございます。ご列席いただいております保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。神戸大学の全構成員を代表して、御入学のお祝いを申し上げます。

この春、神戸大学には学部に2,635名、大学院博士課程の前期課程に1,258名、博士後期課程に324名、法科大学院と経営学専門職学位課程に156名、編入学生として139名の皆さんが入学しました。神戸大学長として多くの新入生を迎えることができて嬉しく思っています。

 

神戸大学は、11の学部と14の大学院、法学と経営学の2つの専門職大学院、経済経営研究所、自然科学系先端融合研究環、医学部附属病院、社会科学系教育研究府、さらに多くの教育研究に携わるセンター群と複数の図書館で構成された総合大学です。教員数約1,500名、職員数は約1,800名、そして学生数は、学部と大学院を合わせると16,000名を超える全国有数の大学です。

神戸大学の学術分野は大きく分けますと、人文・人間科学系、社会科学系、自然科学系および生命・医学系の4つの学術系列になります。それぞれの系列に所属する学部・研究科は優れた特色を持ち、世界的に高い評価を得ている部局ぞろいです。

主要なキャンパスは4つの地区から構成されています。六甲台地区には人文・人間科学系、社会科学系および自然科学系の各部局、楠地区には医学部、医学研究科および医学部附属病院、名谷地区には保健学研究科、そして深江地区には海事科学部・海事科学研究科があります。 

2011年には、新キャンパスとしてポートアイランドに「統合研究拠点」が設けられました。分子から宇宙に至るまでの広範囲な最先端研究を行っています。西隣に世界最速スーパーコンピュ-タ「京」がある利点を活かして、連携して最先端プロジェクト研究を推進しています。ポートアイランドには、神戸バイオテクノロジー研究・人材育成センターも設け、バイオ系を中心としたベンチャー起業プロジェクトを展開しています。

 

神戸大学は、1902年(明治35年)に創立されました。開学以来、「学理と実際の調和」という理念を掲げ、普遍的価値を有する「知」を創造するとともに、人間性豊かな指導的人材を養成することを使命としてきました。そして、昨年5月15日、創立110周年を迎えました。文部科学省はじめ、各界から多くの関係者にご臨席いただき、盛大に記念式典を執り行うことができました。

本学はこの110年の間に、教育、研究、社会貢献などの分野で数多くの輝かしい成果を創出し、昨年に限っても本学医学部ご卒業の山中伸弥京都大学教授がノーベル生理学・医学賞を受賞され、本学工学部電気電子工学科ご卒業の佐川真人(まさと)博士がネオジム磁石の開発で日本国際賞を受賞されました。佐川博士には後ほど記念講演もお願いしております。楽しみにお待ちください。

 

神戸大学は、今、未来に向けて大きく変わろうとしています。私たちは教育、研究、社会貢献などの分野で、日本の、日本国民の期待に応えなければなりません。それには改革が必須なのです。大学全体として具体的な推進計画を策定して、目指すのはキラリと光る「世界最高水準の研究大学」です。

 

入学された皆さん。皆さんには、神戸大学に在籍している間に国際社会で活躍できる実力を身につけていただきたいのです。そのため、学生時代には思い切って困難な課題にチャレンジして自己改革を図ってください。その際、自分の成し遂げたことに簡単に満足しないでください。「まだまだ不十分!不満だ!」と考えるようにしてください。英語では「not yet」と言います。自己満足しないで常に前進する。一歩一歩、階段を登るのです。改革は常に現状に満足しないことから始まります。

大学の重要な役割は、皆さんに「自分で自分を磨く“場”や“機会”を提供する」ことです。本学は、将来を見据え、国際社会で活躍できる人材、すなわちグローバル人材を育成するための教育環境を積極的に整備しています。 

 

グローバル教育を充実させるためには大学教員の質的向上が必要です。個々の教員のグローバル化を図るために、毎年多くの教員を海外に派遣しています。海外で研究活動をすることで、研究能力が向上するだけでなく、現地での慣習に触れることなどを通じて異文化理解が深まり、人的ネットワークも形成できます。帰国した派遣教員たちは一様に“世界で仕事ができるという自信”に満ち溢れています。このような教員の体験が、学生達に学ぶ意欲や広い世界に出て行く意欲を強くサポートします。

グローバル教育のプログラムも充実させています。文系・理系のほとんどの学部や大学院研究科で独自に、あるいは連携によるプログラムを開設しています。海外の大学と協定を締結し、本学の学生を海外に派遣させるプログラムや留学生を毎年受け入れるプログラムを展開しています。

 

皆さんが世界に出て行かれるための足場も作っています。ヨーロッパにはベルギーのブリュッセルに、アジアには中国の北京に本学の海外事務所を設けています。そして、皆さんが国際的な交流を図るために必要な人的ネットワークもあります。本学に留学した人たちが作る同窓会が、世界11カ国で活動しているのです。

世界の人々と知り合い、その文化を深く理解し、そして一緒に仕事をする。皆さんにはそのような国際人に成長していただきたいと思います。サッカーの選手を見てください。一人で海外に出て、外国の選手たちと直接体をぶつけ合い競うことで世界レベルを体験し、活躍しています。今は世界中どこにでも簡単に飛び出せる時代です。皆さんも留学などを通じて自分の才能を花開かせてください。

 

次に、大学生活の間に、将来、「自分のやりたいこと」あるいは「自分のやるべきこと」を模索し続けてください。そのときのキーワードは「夢」です。心を突き動かされるでっかい“夢”をみつけてください。皆さんの可能性は無限に広がっています。「夢」を実現するために大学で充分な基礎を身につけてください。これこそが「大学で学ぶ」ことの意味なのです。

学ぶというのはどういうことか。基礎学力を身につけ、さらに幅広い知識や柔軟な思考力を育んでいく。何事にも、疑問を持ち、「これは正しいのか?」、「これで良いのか?」と自らに問いかけて行く。そのような姿勢を保ち続けてほしいと思います。

本学は、皆さんの学びをこのような視点で支援しています。そして遙かなる地平を望んでほしいと考えます。本学は最先端の幅広い学際融合領域分野における教育研究に力を注いでいます。学際融合の仕掛けとして、自然科学系では、理学研究科、工学研究科、農学研究科、および海事科学研究科の独立した4つの研究科と、5つのセンターから構成される「自然科学系先端融合研究環」というユニークな教育研究組織を設けています。ここで皆さんは、学際的視点からの高度な教育を受けることができ、単に限定された専門分野だけでなく、他の複数の分野における幅広い教育を受けられるのです。

 

また、法学研究科、経済学研究科、経営学研究科、国際協力研究科、および経済経営研究所から構成される社会科学系5部局の総合性を発揮する「社会科学系教育研究府」も設置しています。社会科学系5部局が連携し、グローバルな視野を持つ世界的なリーダーの育成を図っています。

さらには、文学部、国際文化学部、発達科学部、経済学部、工学部、および農学部の6学部が総合的な連携組織を構築し、次世代の持続可能な社会づくりに資する人材を養成する「ESD」と呼ばれるサブコースも開講しています。

これ以外にも本学は様々な組織や教育プログラムを構築しています。是非、ご期待ください。

皆さんは、この神戸大学の国際性豊かで開放的なキャンパスで学ぶことができます。世界に目を向けて、グローバルな社会で活躍できる人材となるべく努力を積み重ねられることを祈念し、私の式辞とさせていただきます。

平成25年4月5日
神戸大学長 福田 秀樹