【式辞】平成26年度 (3月期) 博士学位記授与式 式辞

博士学位を取得された皆さん、誠におめでとうございます。神戸大学の全構成員を代表してお祝いを申し上げます。

今期は課程博士197名、論文博士20名の計217名が博士学位を取得されました。このうち留学生は41名と、約19パーセントを占めております。神戸大学は世界に開かれ、そして世界と競うグローバルな大学を目指していますが、留学生の博士学位授与者を多数輩出でき大変嬉しく思います。

博士の学位は創造性、新規性そして論理性など総合的にまとめられた独自性のある学位論文を基本として評価、授与されるものです。皆さんは、日夜研究活動に没頭され、長年のご努力・ご苦労の甲斐あって、見事、厳しい学位審査に合格され、本日神戸大学の学位を授与されることとなりました。改めまして、お祝いを申し上げます。

本日を出発点に皆さんの目の前には、未来に向けての無限の可能性が広がっております。それぞれの目標に向かって果敢にチャレンジしていただきたいと願っております。

さて、私たちは今、グローバル社会において様々な領域で活動を行っています。そして、いずれの領域においても大変厳しい競争の世界にさらされています。そのような世界で活躍するためには、より高度な知識や経験を有する人材、すなわち博士学位を有する人材が強く求められています。欧米の先進諸国のみならず、その他の世界中の国々においても博士学位を有する人材の育成に尽力され、彼らの能力に期待されていることは論を待ちません。一歩世界に踏み出てください。博士学位の重要性と価値はすぐに実感できることと思います。

大学や研究機関あるいは産業界など様々な方面に船出される皆さんに、神戸大学が全力を挙げて取り組んでいる「文理融合型の研究」と「学理と実際との調和」についてお話して、はなむけの言葉にします。

神戸大学は、歴史的に伝統と強みのある社会科学系分野に、人文・人間科学系、自然科学系、生命・医学系の分野が加わった大規模な有力総合大学です。このような特徴ある本学の最大の強みは、文系と理系とのバランスが良く、異分野間の交流や融合が効果的に図られることです。この目的を実現させるために本学では様々な改革を重ねて組織作りを行ってまいりました。具体的には、理学研究科、工学研究科、農学研究科、海事科学研究科に所属する自然科学系に属する教員から構成される分野横断組織として自然科学系先端融合研究環を2007年に創設しました。

2011年には理系・文系の研究者が一緒になって研究を進めるために、ポートアイランド地区に「統合研究拠点」を作り、そして、2012年には社会科学系5部局で構成される社会科学系教育研究府も構築しました。

このような実績を重ねてきた結果として、2年前の文部科学省「研究大学強化促進事業」において「文理融合型総合研究大学」として採択されるに至ったわけです。

学問、研究は深く進展するほど細分化されます。それだけに俯瞰力を持ち続けなければ研究の本来の目的や意義を見失ってゆきます。最近の状況を見ますと、多くの先端研究において、様々な分野の専門家がそれぞれの専門を基軸にして同じ課題に取り組んでおられます。切り口の異なる専門家と接触し協働することは、自らの専門力を深耕させるとともに新たな発想へのヒントに繋がります。異分野の研究者との連携や共同研究は、このような観点から重要で必要なことです。

さて、「学理と実際との調和」についてですが、この理念は、1902年、本学の神戸高等商業学校創設時に当時の水島銕也初代校長が、学理とともに実務を重視された伝統として受け継がれ、時空を超えた本学の理念となっています。その理念を基本とした本学の新たな研究科として、2016年度に自然科学系および生命・医学系分野と社会科学系分野の教員で構成される「科学技術イノベーション研究科 (仮称)」という新たな組織を開設することにしました。本研究科は、理系の学生を対象とし、先端分野における基礎研究から事業化までをシームレスに一貫した教育研究を行うものであり、文理融合型の教育研究機関であるとともに実践型の教育研究を積極的に推進するものです。今後、グローバルな世界で必要とされる新たな理系人材の専門的な教育研究組織として、我が国では初めての研究科といえます。

皆さんは、このような風土や伝統を有する神戸大学で博士の学位を取得され、高い専門力と実践力の両者を兼ね備えられています。

今、私たち人類は大変大きな岐路に立っています。政治や経済の分野における不安定さ、地球環境の悪化、さらに科学技術の著しい深化とそれらが新たに生み出す課題への取り組み等グローバルで多様な課題解決が喫緊となっています。

  

今日ここにおられる皆さんには、是非ともグローバルな課題に挑戦者として対応し、本学で学ばれ培われた実力を遺憾なく発揮され、世界に貢献できる人材として活躍されますことを期待して私の式辞といたします。

平成27年3月24日
神戸大学長 福田 秀樹