【挨拶】激動の時期にこそ、着実な大学変革を目指す

2017年01月04日

神戸大学長  武田 廣

新年明けましておめでとうございます。皆様方におかれましては、良いお正月を迎えられたことと存じます。

平成27年4月に現大学執行部が「先端研究・文理融合研究で輝く卓越研究大学」を目指す新ビジョンの下にスタートして2年目を迎え、平成28年度から第3期中期目標・中期計画期間が始まりました。まず、昨年1年間における本学の主な動きを振り返ってみたいと思います。

昨年は様々な改革が実行に移された一年でありました。組織改革では、教員組織と教育研究組織の分離、教員人事のポイント制が始動しました。また教学面では、クォーター制が開始され、グローバルチャレンジプログラムとあわせて、グローバル人材育成のための様々な仕組みが動き出しました。

新たな組織としては、科学技術イノベーション研究科と株式会社科学技術アントレプレナーシップの設置が挙げられます。改めて申し上げるまでもなく、本学の強みである社会科学と自然科学の融合による野心的な取り組みであると同時に、本学の研究成果を社会へ還元し、さらにその果実を本学の新たな活動財源へと循環させることを目指したシステムであります。さらに、「バイオシグナル総合研究センター」、「社会システムイノベーションセンター」が設置されたほか、10月には学術研究推進本部と連携創造本部を発展的に解消して双方の機能を統合した「学術・産業イノベーション創造本部」が新たに設置されました。

地域との連携では、まず、ポートアイランド地区に今年4月に開設予定の「国際がん医療・研究センター」の設置が挙げられます。このセンターは、シスメックス株式会社から多額のご寄付をいただくことで実現した訳ですが、次世代医療、医療機器の新規開発などでの本学の新たな研究拠点となります。また、平成28年度補正予算の「地域科学技術実証拠点整備事業」では、神戸市との協力のもと、医療用ロボット等の革新的な医療機器開発の産学官連携での実用化拠点が設置されることが決まりました。これらの拠点設置により、医療産業都市構想を進める地元神戸への一層の貢献が可能となります。また、COC+事業では、引き続き県・市をはじめとする地域との連携協力を推進しており、地域創生への大学の関わり方について議論を続けております。さらに、神戸新聞社との協議の中で、本学の研究成果の社会発信について具体的な話し合いを進めているところです。

国際化への取り組みとしては、昨年が日本・ベルギー友好150周年であったことから、神戸大学ブリュッセルオフィス・第7回シンポジウムの開催とともに、訪日されたベルギー王室をはじめベルギーの政府・学術機関関係者と様々な交流を持つことが出来ました。また、米州における教育・研究等の交流および活動拠点として、本学6番目の海外拠点である「神戸大学ホノルル拠点」を開設しました。これらの国際交流の強化は、本学の研究活動のグローバル化、さらには今年4月に開設予定の国際人間科学部などでの学生交流の基盤となるものと思われますので、引き続き関係各位の努力を期待したいと思います。

昨年は様々な制度改革を断行した結果、お集まりの皆様をはじめ、学内構成員にはご負担をおかけした一年だったと思います。しかしながら、本学を取り巻く環境は引き続き厳しいものがあり、国立大学運営費交付金も下げ止まったとは言え、基盤的な経費が大幅に増加するなどの劇的な改善が起こりうる状況にはありません。私は、国立大学だけでなく、日本の高等教育そのものの将来像、グランドデザインを責任ある形で国が策定すべきとの考えをことあるごとに訴えています。法人化前後から、高等教育政策は迷走の感がぬぐえません。逆に言えば、変動期であるこの時期は固定化した状況を打破するチャンスでもあります。そのためにも、本学は先んじて新たな機会を生かしていかなければなりません。様々な情報を分析しても、本学の置かれている状況は決して楽観できるものではありません。指定国立大学法人に関しても、残念ながら、申請要件を満たす事が出来ませんでしたが、今後、本学の真価が問われる機会が訪れたとき、自信を持って手を挙げられる神戸大学でなければなりません。現在進めている大学改革の取り組みを怠れば、瞬く間に本学の運営は立ちゆかなくなるとの認識を持ち続けていただきたいと思います。

引き続き、ビジョンで掲げた「卓越研究大学」を目指して、構成員の皆様とともに進んで行く決意を新たにして、新年のご挨拶とさせて頂きます。