HOME>> 環境に関する教育・研究と地域連携 >>環境に関する教育:「自然環境総合演習」の15年

環境に関する教育・研究と地域連携

環境に関する教育

「自然環境総合演習」の15年

人間発達環境学研究科教授中川和道

発達科学部自然環境論コースの2年生の科目に自然環境総合演習がある。つくば地区の研究所を訪問見学する研修科目である。本稿では15年にわたって続いているこの科目を紹介する。

現在この科目は1単位の選択科目である。4月にイントロ ( 90分 ) を行って参加者を募集し、5月、6月、7月に一度ずつ自分の下調べテーマを発表してもらう機会を設け ( 毎回90分 ) たのち、9月につくば旅行を行う。費用約2万円は学生の個人負担である。主な見学箇所は国立環境研究所、宇宙航空技術研究機構筑波宇宙センター、産業技術総合研究所などである。これらの研究所にはあらかじめ見学申込みを行い、見学する研究部門と内容を打合わせておく。例年、2年生約15名に1年生、3年生や4年生、時には大学院生も含めて大体20名程度の規模で実施している。

発達科学部に自然環境論コースが発足した当時、環境科学とは何をする学問かがよく分かっていなかった。学生は大学に入学してまず基礎科学の勉強を集中的に行うというトレーニングを受けるのだが、自分がやっている勉強が将来とどうつながり得るのかが分かりにくい。そこで、学生は入学の目的を見失ってしまうとか、将来の方向を見定めようとする指向が鈍ってしまう傾向がある。それならと環境科学研究の最前線に直に接する機会をつくろうと思い立ったのである。

この科目は最初は単位なしの課外活動として始まった。発達科学部自然環境論コースの第1期生から数えて300人近くの学生が参加してきたこの科目に1単位が与えられることになったのは3年前のカリキュラム見直しの機会を通じてであった。

  この科目を通じて国立環境研究所で研究してみたいという希望を抱き、のちに院生として環境研に行ったり、宇宙科学に興味をもって大学院に進む学生もあらわれた。これらの直接の成果以外にも研究者の話を直接聞いたり質問するという経験がいろいろな場面の基礎になっていると思われる。

 

オゾン層観測衛星のテスト機の見学風景
オゾン層観測衛星のテスト機の見学風景
HOME>> 環境に関する教育・研究と地域連携 >>環境に関する教育:「自然環境総合演習」の15年