工学研究科、喜多隆教授が、半導体ナノ電子材料の構造制御と電子状態・光物性に関する研究において、公益社団法人応用物理学会フェローの称号を授与されました。

応用物理学会フェローは学術・研究活動、産業技術の開発・育成、教育・公益活動を通じて、応用物理学の発展に貢献した顕著な業績に対して与えられる称号です。工学研究科電気電子工学専攻・喜多隆教授の30年を超える半導体量子ナノ構造の三次元構造制御による機能発現、物性制御、応用実用化に関する研究業績、およびこれらを通じた応用物理学に対する貢献は際立っており、応用物理学会フェローの称号を授与されました。

研究・開発では、半導体ナノ電子材料の構造制御と電子状態・光物性に関する研究を通じて、光とエレクトロニクスを融合した次世代のフォトニクスデバイスに関わる基礎サイエンスからデバイス技術に関わる研究を推進してきました。特に、自己組織化(自己形成)を利用して低次元ナノ構造をボトムアップでエピタキシャル成長する方法に着目して、量子特性を反映した新物性・機能の発現とその光デバイス応用を目指した研究を行っています。自己組織化は自然の力を利用した非常に理にかなった量子構造形成技術で、再現性が良く、実用性にも優れています。研究成果は多数の高い品質の論文を発表するにとどまらず、発見した新材料や新しく考案した技術の特許化を積極的に進め、実用化例も有するなど多大に産業貢献しました。

具体的には、DVDピックアップ用赤色レーザの発振波長安定化技術の開発、半導体変調分光評価技術の開発、超高速に動作して入力信号の偏波に依存しない超安定動作する光アンプの開発、次世代型の新原理で動作する太陽電池の原理実証、水銀フリーの紫外光源など、これからの未来を切り開く革新的な技術の開発に世界に先駆けて成功してきました。また、教育・公益活動では、応用物理学会が刊行する国際ジャーナルのローカルエディターを長年にわたり勤め上げ、2014年にAPEX/JJAP編集貢献賞受賞されるとともに、学会関西支部幹事、本部理事、諮問委員など歴任して、応用物理学の発展に貢献させていただくことができました。今回のフェロー表彰は、これら際立った応用物理学の発展に貢献した業績が評価されたものです。

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