末次健司・理学研究科特命講師が、従属栄養植物の進化生態学研究で、「文部科学大臣表彰若手科学者賞」を受賞することになりました。

植物の中には、光合成をやめ、菌根菌から養分を略奪するという特異な進化を遂げた菌従属栄養植物が存在します。これらの植物は、開花期のわずかな期間しか姿を現さないため、分布情報すら明らかではない種が多く、その研究には困難を伴いました。

そこで末次特命講師は、精力的なフィールドでの探索を行い、詳細な研究の遂行に成功しました。さらに末次氏は、最新の解析技術と自身が明らかにした生態情報を発展的に組み合わせ、陸上植物に生態的ならびに形態的な多様性を生み出した従属栄養性進化のパターンとメカニズムを解明しつつあります。

末次氏の研究成果は、植物が「光合成をやめる」という究極の選択をした過程で起こった変化を包括的に理解するものであり、光合成が植物を定義づける重要な特徴であることを考えると、植物学全体の発展にも寄与すると期待されるとの評価を受け、今回の受賞にいたりました。

受賞日

平成30年4月17日

概要

文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とする科学技術分野の文部科学大臣表彰を定めており、若手科学者賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象としている。

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